森の旅 

To the world where you've never seen.

室戸 アコウの樹の下で

約2分


どうしても、暗くなってしまう。

私の性格でない。

いや、もちろん暗いことは暗い。

それは間違いはないのだが。

・・・。

写真の事だ。

先日、所用で室戸を訪れる機会があり、久し振りに国道沿いアコウの樹を訪れてみた。

夕刻五時過ぎ、日は伸びたとはいえ、まだ六月というのにカンカンと照らしていた太陽の、昼間の勢いはもうない。

平日なので、高知の一大観光スポット室戸岬といえど、人影はまばらだ。

もちろん薄暗いアコウの樹の周りには誰もいなかった。

アコウ。

この樹は、本当に不気味である。

幹から縦横無尽に伸びる根は、岩の隙間という隙間へ侵入し、競り上がり、沈み込み、そして包み込む。

それでは飽き足らず、地表まで伸びた根は、八方に広がりながら、次の獲物を求めて落ち葉の海を泳いでいくようだ。

別名 『締め殺しの木』

その恐ろしい名前のイメージに多分に影響を受けている事は間違いないが、それだけではないだろう。

とにかく夕方の、この薄暗い樹の前に一人で立ってみると、とても落ち着かない。

その不安感なのか、実際暗いせいなのか。

写真はどんどん暗くなる。

滞在時間はほんの15分程だった。

見上げると太陽光が差し込んできている。

だが、普通の、朗らかな一般的イメージの木漏れ日とはまったく異質だ。

落ち着きはまったく取り戻せず、逃げるようにこの場を後にした。

 




Leave A Reply

*
*
* (公開されません)