森の旅 

To the world where you've never seen.

工石山 初冬の里山を行く

約9分


久し振りの連チャン山歩き。

急遽半日時間が出来たので、高知市近郊にあるお手軽コース、工石山へ行ってきた。

工石山は高知市の北部に位置する、標高1176mの山で、古くから高知県民の森として親しまれている。

高知市内から車で約40分前後で登山口まで来ることが出来、豊かな自然林と展望の良さで人気の山だ。

今回訪れたのは都合3回目だと思う。

前回が登山を始めてすぐの頃、その前が、多分中学生の頃何かのイベントで訪れた気がする。

遠足だったんだろうか?

とにかく登山愛好家の山というより、多くの一般の人たちも気軽に訪れている山だ。

8:30 青少年センター前の登山口から出発。

今日も少し風が強く、肌寒い。

メリノウールのアンダーにソフトシェルジャケットでスタート。

登山道脇の1本の紅葉したヒメシャラが目に付く。

ヒメシャラは赤茶色い、スベスベした樹皮が特徴の樹で、パッと一目で判断できるため、登山を始めて一番最初に覚えた樹だ。

葉は鮮やかに色づいている。

脇にあるトイレを通過し、まずは杉の人工林の中を進む。

道は綺麗に整備されていて歩きやすいが、まだまだ体が温まっていないので寒い。

8:48 杖塚へ到着。

ここで道は分岐している。

左へ行くと南周りのルート。

サイの河原を経由して山頂へ通じている。

右へ進路を取ると、稜線伝いに頂を目指すルートとなる。

とにかく肌寒いので太陽光が少しでも多く当たっているような気がする南周りのルートを選択する。

何時の間にか人工林は少なくなり、自然林の、明るい道を進む。

葉を落としてむき出しになった枝という枝の隙間からどんどん差し込んでくる太陽光に感謝だ。

少し行くと【ヤッホーポイント】なる看板を発見。

どうやら此処はやまびこに最適のポイントらしい。

しかし、30台後半オジサンがソロで大声を出すには忍びなく、今回は涙を呑んで素通りだ。

再び人工林に入ったりを繰り返しながら先へ進む。

高度を上げるに伴って、紅葉ほぼ終了し、落葉している樹が多い。

9:15 【ひのき屏風岩】に到着。

南側が切れ落ちた、岩のテラスに登ると南方面が一望できる。

足元を異常な程注意しながら、慎重にテラス先端・・・の少し手前まで進んでみる。

山林の向こうは高知市、南国市の市街地、その奥にキラキラと輝く土佐湾が見えている。

山の上から海が見えるという事は、海からももちろん山が見えるという事で、その昔船乗りは工石山の南斜面にある断崖絶壁の大岩【妙体岩】で方角などを定めたとの事だ。

途中まで今いる屏風岩と妙体岩を混同していたが、どうやら違う岩らしい。

展望をたっぷり堪能して、先へ進む。

登山道に戻るとすぐ看板。

サイの河原へあと0.4kmだ。

道は本当に丁寧に整備されているし、このような看板が各ポイントには必ず立っているので、まず迷う事はないと思う。

赤良木園地というのも気になるが、とりあえず予定通りサイの河原に向かって進む。

豊かな自然林の道。

途中、最近折れたと思われるもみの木を発見。

先月の台風の時だろうか?

痛々しく引き裂かれた割れ目からは、木工製品の、あの優しい香りが漂っている。

9:40 サイの河原へ到着。

先着の方が一人。

三脚を持ち込んで撮影されていた。

休憩所のような建物があり、サイの河原についての説明看板などがある。

サイの河原は高知市内を悠々と流れる鏡川の源流の一筋。

工石山から流れ出た小さな一滴は、やがて土佐湾へそそぐ。

サンショウウオも生息しているようだが、もちろん発見できない。

看板を見てみると、頂上まであと1km。

シャクナゲ道とある。

もう少しだ。

看板通り、シャクナゲが多い道を行く。

花の時期は最高だろう。

少し行くと【風の谷】の看板を発見。

ここも屏風岩のように南側の展望ポイント。

V字の谷から吹き上げる涼風が体の疲れを癒してくれると書いてある。

夏場にはそう感じるのかもしれない。

しかし、風の谷と聞けば、ジブリのアレを想わずにはいられない。

なんとなくあの谷に景観も似ているし。

更に【天空の窓】の看板を発見。

大きな岩の上にへばりつくようにヤマグルマという樹が根を張っていて、下側から覗き込めるようになっていた。

成る程、根と根の間越しに空と枝葉が見える。

更に先へ進むとシャクナゲのトンネル道。

それを抜けて、いよいよ頂上だ。

10:20 工石山頂上に到着。

頂上には木で出来た展望台がある。

上がって見たが、山頂周りの樹木が邪魔をして展望はそれ程良くない。

屏風岩からの眺めの方が全然いいと思う。

休憩もソコソコに次は北の頂を目指す。

実は工石山は双耳峰で三角点がある頂上は今いる南側の頂上だが、北側に標高1777mのもう一つの頂上がある。

北側の方が少し高い。

最短距離で向かうと200m足らずで到着だが、ここでは尾根筋を南側へ回り込む、遠回りルートを使用した。

それでも700m足らずで北の頂へ到達することが出来る。

この辺りが個人的には工石山で一番好きな部分。

モミ、ツガ、ヒノキ、スギ等の針葉樹にブナ、モミジ、ヒメシャラ、リョウブなどの広葉樹が混じりあった、豊かな自然の森。

1本真っ赤に燃えるドウダンツツジを見ることが出来た。

静かな、深い森の道を行く。

展望抜群の稜線歩きもいいが、こういうしっとりとした静かな森を歩くのも大好きだ。

10:52 あっという間に北の頂に到着。

山座同定板がある。

先週登った寒風山~笹ヶ峰もギリチョンで見えている。

しかしここも山頂周りの木々が展望を妨げ気味である。

10年、20年前はもう少し迫力ある景色が見れただろう。

ランチ休憩を考えていたけれども、随分時間が押しているので早々に下山を開始する。

昼頃には帰宅せねば何が起こるか分からない。

11:09 【トド岩】に到着。

屏風岩のように、岩のテラスが張り出していて、北側斜面、嶺北地域、石鎚山系を見渡すことが出来る。

北の頂よりだいぶ展望が良い。

もちろん際までは行けないので、少し手前から撮影。

11:22 【ひのき風倒根】に到着。

昭和38年の台風で倒されたヒノキの大木の根だ。

倒れた当時、推定樹齢200年との事。

ゆっくり撮影したかったが、先客がおられたのでそのまま通過。

木漏れ日の杉の道を行く。

途中トド岩のような絶景ポイント、【八起白鷲岩】もあるが、ここも先客があったので、そのままスルー。

奇妙にクネッと曲がった杉林。

これも昭和38年の台風でなぎ倒された樹がその後垂直に幹を延ばした姿との事だ。

岩に絡みつく樹しかり、木々の生命力に驚かされる。

数枚撮影し、急ぎ足で進む。

11:37 杖塚着。

11:46 登山口に無事到着。

工石山は高知市内からも簡単にアクセス出来るうえ、登山道も非常に丁寧に整備されているので多くの方にお勧めできる山だ。

今回のように周回しても距離にして5.5km、累計高度500m足らずなので、グハグハ登りたい人には少し物足りないかもしれないが、展望がいいポイントも何か所もあるし、自然林の道も素晴らしい。

花の時期にもまた違った魅力があるだろう。

ゆっくりハイキング気分でふらっと訪れるには最高の山だと思う。

是非皆さんも!

 

 

 

 

 

 




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