森の旅 

To the world where you've never seen.

稲積山 夏の夕空に浮かぶ天空神社

約8分


山歩き日 2018年7月22日

いやぁ、連日暑い日が続いていますね。
毎日毎日気温計は35度を超えてうなぎ登り状態。
テレビやネットからはひっきりなしに熱中症のニュースが流れ続けている。
ほんと、この暑さには参りました。
自分達が子供の頃に比べて、やはり確実に気候は変化していると実感する次第。

うなぎといえば。
先日は土用の丑の日でしたね。
鰻の値段も気温の上昇以上に半端なく上昇中。
どうやら稚魚が大不漁らしい。
大のうなぎ好きにとってはこれもたまりませぬ。

さて久々の山登り。
現在の殺人的な高温では昼間の山登りはしんどそう。
なので、陽も傾き始めた頃から、夕日撮影も兼ねて近場の低山を徘徊しようということに。
いつも同行しているTのお膝元、香川県の稲積山(七宝山)へ行ってきた。

七宝山は香川県西部、三豊市の西側に南北に連なる山系にある山の一つ。
他に稲積山、志保山等が連なって七宝山系と呼ばれているみたいだ。
ネットで調べてみると七宝山の表記があちこちにあってどこが本当の頂上かよく分からない。
とりあえず南側の高屋神社下宮と北側の七宝山トンネルの東側あたりに車を止めて、プチ縦走を計画する。

17:16 高屋神社下宮に到着し、出発準備が整う。

と同時に、遠方で雷の音が鳴り響いたかと思うと、いきなり雨が降り出した。

もちろん今日の天気は晴れ予報だ。
念のため確認する。

香川県観音寺市。
間違いない。
傘のマークなど、ない。
降水確率は20%だ。
降らないだろう、普通。
しかし、目の前はかなりの雨粒が落ちているという現実。
なぜだ。

ほほう、なるほど、なるほど。
この広大な四国というアイランドで、今まさに我々のいる、ここ三豊、観音寺周辺のみが何故か豪雨なのだな。
楽しみにしていた、約1ヶ月ぶりの山登りを、さあこれから始めようという時に。
つい1時間前までギラギラした、灼熱の太陽が周りを照らしていたというのに。
なぜこんなピンポイントで我々は狙い撃ちされてしまうのか。
Tと共に山行を計画すると、高確率で天候が悪化してしまうのはよくある事だが、ここまできたら呪われているとしか思えない。
もはや前世でどちらかが、何か恐ろしい大罪を背負ってしまっているのではと疑ってしまうくらいだ。
とにかく雨宿り。
雨脚も強く、雷鳴も近い。
動くことは得策ではない。

神社の濡縁に腰掛けて雨をやり過ごす。
周りの雑音はかけ消えて、ザーっと雨の音しかしない。
カラカラに乾いた砂地の駐車場に雨が染み込み、ムワンと熱気が立ち上る。
隣には猫が一匹、雨に濡れてしまった体を毛繕いしている。

ニャンだ?
この雨?

あ〜ムリムリ。
この雨はしばらく止まニャイぞ。

フワァ、こんな時は寝るしかニャイぞぅ・・・

・・・

・・・

・・・

ZZZ...ZZZ...

・・・

・・・

・・・

・・・

・・・

んん〜上がったかニャ?

おいお前!
カシャカシャ鬱陶しいニャ!
早く行けよ、もう雨は上がるニャ。

18:15  きっちり1時間遅れでようやく出発。
あまりにしつこく猫を撮っていたので、最後は少し怒られたようだ。

歩き始めは舗装路がしばらく続く。
雨はまだ完全には止んでいない。

強烈な太陽の光が差し込んでくる。
肉眼ではこの木々の向こうに海が見えている。

大きな石柱を通過すると傾斜が増してくる。
振り返ると南側の空は完全に晴れてきている。
雨雲は南から北へ通過したようだ。
もう大丈夫だろう。
特徴的な手前の可愛らしい山は江甫草山という。
登れるのだろうか?

こんな感じの舗装路が続く。
久しぶりの森の香り。
雨水を含んで、より濃い香りが辺りに充満している。
ハァ〜やっぱいいねぇ〜。

18:31 やがて高屋神社中宮に到着。
舗装路はもう少し奥までついていたが、やがて土の道に切り替わる。

標識やテープで整備されている訳ではないが、しっかりした踏み跡があるので迷うことはない。
つづら折りに高度を稼いで行く。
久しぶりの山だし、低山とはいえしんどい〜。

やがて鉄の橋が出てくる。

橋の上から。
うむ、絶景なり。
右側の砂浜が有明浜海水浴場。
画面中央の煙が立ち上っている辺りが製紙産業で有名な四国中央市(川之江)かな。

さらに左側にカメラを振る。
眼下に広がる、観音寺の街並み。
画面左奥の山が雲辺寺。
リフト乗り場が見えている。

やがて石積みの階段が出現。
差し込む夕日を浴びながら登る。

高屋神社は別名天空の神社とも呼ばれているらしい。
確かに山のてっぺんに向かって一直線に階段が付いて、空に向かって登る感覚に襲われる。
しかし、長い〜。
ヒィヒィ言いながら登りつめる。

19:05 高屋神社に到着。
稲積山(407m)の山頂でもある。
素晴らしい景色。

ゆっくりしたい所だが、先を急ぐ。
もう一つの展望ポイントはまだ先だという。
雨宿りでのロスタイムが痛い。
日没に間に合わないかも・・・

舗装路の車道を進む。
高屋神社本宮には反対側から車で登ってくる事もできるのだ。
車で来るとあっという間だろうなぁ・・・
道中カラスの大群に遭遇。
ギャアギャアと鳴きわめいている。
不吉だな、なんてTと話していたのだが。
後にこのカラスの”意味”が分かることになる。

やがて林道の別れを左へ進む。
舗装路も途中で途切れて再び土の道に。
急げ、急げ。

19:27 日没には間に合わなかったが、展望台へ到着。
夕日の残照に染まる瀬戸内海。
ああ、ここも絶景なリィィィ。
先行で撮影されていた方に場所を譲ってもらい、撮影開始。

眼下の埋め立て地が三豊市仁尾の街並み。
そこからシュルシュルっと伸びているのが荘内半島。
山頂が平らな、一番高いピークが紫雲出山だ。
桜の名所としても有名だ。

瀬戸内海の島々。
大中小、本当にたくさんの島が浮かんでいる。
瀬戸内海には外周が100m以上の島が727島、それ以外も含めると、約3000もの島があるという。

振り返ると、月が出ていた。
背中側から夜が進んで来る。
濃い青から黒へ。

赤く染まる地平線が綺麗だ。

さてすっかり夜のとばりが下りた展望台を後にして、下山を開始する。
計画ではもう少し山道を先へ進み、七宝トンネル付近を下る予定だったが、まだTも行ったことのないルートだということ、そしてすっかり暗闇に包まれてしまい、安全面を考慮して、車道を下ることにする。
一旦来た方角へ戻ったりで歩く距離自体は長くなるのだが、まあ仕方ない。
この辺りはイノシシも多いみたいで、確かに真っ暗闇の鬱蒼とした山道でイノシシに遭遇なんてのは勘弁である。

やがて不動の滝カントリーパークの駐車場付近まで到達した我々。
ほぼほぼ山を下りきり、残すは平地の車道を駐車した車まで戻るのみとなった頃。
全てをひっくり返す事件が起こる。

ななななんと下山先に駐車した、私の車の鍵がないという事実。
どこを探してもない。
ないったらない。
完全に私のザックには、車の鍵なる物体は存在しない。
どうやら出発地点のTの愛車に置いて来ている・・・

なるほど、なるほど、オーケー、落ち着けよ。
取りに行けばいいじゃないか・・・って簡単に言える距離ではない。
今来た道を戻るか、山の裾をぐるっと回って高屋神社下宮へ向かうか。
参りました。
しかも、この時点で21:00を過ぎている状態。
ギブアップ。
Tの奥様に迎えに来てもらうことに。
ヒィ〜ほんとすいません〜

後に絶望と悲しみの下山地点として歴史に残るであろう、不動の滝カントリーパークの駐車場。
なんと更に財布まで忘れている私は、Tに出し変えてもらってなんとか命を繋ぐ水分を購入することができた。
どうやら出発時の大雨も、猫に怒られた事も、微妙に日没に間に合わないと気付いた時も、カラスの大群に遭遇した時も。
全てがおいお前、鍵忘れているよ、早く気づけよと言われていたような気がして来る。
そういやこんなことは前にもあったな。

剣山~次郎岌~丸石 春の道

あの時もバスに救われたのだった。

やがて奥様登場。
救援車のライトが神々しい。
車中では二人のkidsも迎えてくれた。
賑やか賑やか。
子どもは元気だ。

そしてついに出発地点まで到着。
車なら本当にあっという間だ。
例の鍵を撮影。
しっかりトランクに置いて行ったカバンの中に財布と一緒に鎮座しておりました。

こうして短いようで、随分長くもあった山旅は終了。
稲積山は絶景ポイントがいくつもある、魅力的な低山だった。
山のてっぺんに神社があるというだけで秘境感が増してワクワクしてしまう。
車でも簡単に行けるが、もちろん麓から参道を歩いて登ると更に多くの魅力に気がつくと思う。
下から見上げる、空へ登るような石段なんか、最高。

今回は本当にT夫妻にはご迷惑をお掛けしました。
夜遅くに車まで出してもらい、本当にありがとうございました。
次回縦走時には本当に気をつけなくては・・・




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