森の旅 

To the world where you've never seen.

奥祖谷の名峰 霧氷に覆われた矢筈山を堪能する!!

約7分


山歩き日 2020年1月3日

あっという間に正月休みも終了。
皆さんゆっくり休めましたか?

さて今回の山旅の舞台は徳島県、矢筈山。
同行はT。
四国に矢筈山と呼ばれる山は数座あり、特に有名なのが高知県にある土佐矢筈山と、今回訪れた徳島県祖谷山系の矢筈山(1848.5m)だ。
土佐矢筈山は天狗塚の西方に位置し、一面笹原に覆われた展望の良い山で確か私は2回訪れている。
そして今回初挑戦となる徳島県の矢筈山。
国選定重要伝統的建造物群保存地区として登録されている落合集落を通過して更に奥にある落合峠から登るのが一般的なコースらしい。
片道3km、標高差約300mとのことなのでまずまず楽に登れるはず。
余裕があればさらに先の黒笠山まで縦走しようかなどと言いながら準備をする。

国道439号線の落合峠への分岐点。
しっかりした看板もあるのですぐ分かる。

スタート地点の落合峠。
何故だろうか?
周囲の空が真っ白く見える。
本日の天気予報は快晴である。
だがT曰く10時から晴れる予報なので大丈夫だという。
ちなみにこの写真を収めた時間が9時48分なのだが。
しかし今更どうこう言ってもどうにもならない。
Tを信じて進むしかない。

9:52 落合峠を出発。
ちなみにこの峠、すでに標高1520mもある。
東へ向かえば矢筈山、西へ向かえば寒峰まで行けるようだ。
寒峰は以前敗退しているので、ぜひ登りたい山。
いずれ。

とっくに10時は過ぎたのだが、ますますホワイトアウトする世界。
風も強くて非常に寒い。
おかしい。
こんなはずではない。
予定では青空と霧氷のシンフォニーを堪能しつつ、新年を迎える喜びを噛みしめながら登るはずだったのではなかったのか。
今噛みしめているのは寒さと絶望に震える自分の唇のみだ。

足元に落合峠。
それから先は一面ホワイトアウト。
本来ならば笹原の絶景の向こうに寒峰が見えている筈だが。
状況はどんどん悪化している。

青空なら映えるだろうけど、背景が真っ白では折角の霧氷も全く目立たない。

この最悪な状況に、いつものどちらが日頃の行いが悪いか選手権を開催しながら進んでいると、樹林帯に突入。
冷たい風から逃れる事ができた。
ただし一向に状況は好転しない。

どれだけ歩いただろうか?
樹林帯を抜け、再び笹原ロードに突入した頃、ようやく本厄コンビの私達にも勝機が訪れる。
あれほどの濃霧が徐々に解消され始めたのだ。

10:32 遂に太陽光が我々を捕捉する。
明るく広がる世界。
風に吹かれながらもしっかりと熱を感じる。
暖かい。
本当に太陽が有難いと思える瞬間。
大展望を楽しみながらの笹原稜線歩きは本当に贅沢な行為である。

と思ったら、またしても樹林帯へ突入。
展望なし。
何とタイミングが悪いのだろう。
絶対にTに天罰が下っているとしか思えない展開に歯軋りしながら先へ歩を進める。

だがこの森が素敵すぎるのは写真でもお分かりだろう。

モミの木の純林。
素晴らしい。
樹林帯フェチの私としてはシャッターを押すことを止めることができなくなる。
最高(^○^)

途中でぬた場だろうか?
凍結した水たまりを発見。
完全に凍っている様子。

勢力を増した太陽から光線が差し込んでくる。
ああ、本当に素晴らしい。
いい森です。

やがて北側に目を向けると木陰から霧氷に覆われた矢筈山が姿を見せ始める。
それに青空のおまけ付きだ。

振り返れば歩いてきた稜線が丸見え。
画面中央の笹原のコルが落合峠。
その奥のピークが落ちハゲ。
寒峰はさらにその奥だ。
それにしても劇的な天候の回復に驚いてしまう。

さらに進み、ダケカンバが増えてくるとなかなかの急登が始まる。
冬季以外なら問題ないのだろうけど、北斜面のためか所々凍結している箇所が厄介。
お助けロープにガチにお助けしてもらう。
アイゼンも持ってきていたので、無理せずすぐに装着すれば良かった。

斜度はこんな感じ。
体感ではもっとキツかったような気もする。

やがて急登を抜けると霧氷の森。
やはり霧氷に青空は最高に映えますな。

一面霧氷の森と化した、北側斜面をトラバース気味に進む。
アイゼンなしなので慎重に。

幸せすぎる空間。

Tもシャッターが押す手が止まらない。

やがて稜線へ到達。

左奥のピークが恐らく頂上だろう。
少し下って急登を登り返すようだ。

周りが絶景すぎて急登も全く辛くない。

何故か登ってしまった岩。
無事降りられたので良かったものの、降りる時は少しヒヤッとした。
巻くのが正解です。

トラバースしてきた霧氷の森を振り返る。

大岩を右に巻いて笹原を進むと頂上はすぐそこだ。

その大岩を振り返る。
一応映え映え写真を夢見て登ってみたが先端に立つにはどうしても腰が引けてしまう。
頭脳明晰すぎる私にとっては不安定な(実際には全く不安定ではない)岩の高場、それもその先端に、生まれたての小鹿のように無防備に立つこと=突然の突風で落下=血肉飛び散る大惨事・・・ぐらいのイマジネーションは0.003秒で描ける。
君子危うきに近寄らずを実践するのみだ・・・
・・・
・・・
・・・
こうして私の人生は平坦なまま、ダラダラと進んでいくのだろう。

12:40 矢筈山山頂到着。
当初は1時間足らずで矢筈を落とし、そのまま黒笠へ向おうなどと豪語していた私達だが、しっかり3時間消化している。
もちろん黒笠山への縦走は断念。
ゆっくり頂上からの素晴らしい景色を堪能することに決める。

東側には徳島県の盟主、剣山が丸見え。
その右側の精悍な三角錐が次郎笈。
手前の尾根の西の端が塔の丸。
それから稜線を東に向かい、コルを通過すると丸笹山だ。
黒笠山は画面左寄り手前の、先端がシュッと立ち上がった山かな?
徳島のマッターホルン とも呼ばれているらしいので。

拡大。
こちらの方が見やすいね。
それにしても全域雪は全く無いみたいだ。

歩いてきた道を再度振り返る。
画面手前、左側の双耳のピークは特に名前はないらしく、矢筈前衛峰などと呼ばれている様子。
途中からトラバースした形なので、頂上からの景色に少し興味ある。
展望が効くとしたら矢筈山鑑賞の特等席ではないのかな?
ちなみにさらに左側へ進むとサガリハゲ山へと続く。

拡大。
笹原のコルが落合峠。
登山口だ。
奥のピークが落ちハゲ、さらにコルを挟んで右側が前烏帽子山、さらに右に行くと烏帽子山。
確かにここから見ると烏帽子の形に見える。
画面左端の遥か一番奥に見えているピークが寒峰。

突然の突風で霧氷の吹雪が舞い上がる。

すげー。
圧巻。

風の当たらない地点まで戻り遅めの昼めし。
今日は日清のカレーメシ。
相変わらずの旨さ。

チャチャッとかきこんで出発。
この時外気温は6℃くらい。
風がないと暑いくらい。

霧氷もだいぶ少なくなっている。

お助けロープの急登部分が気になったので帰りはアイゼンを装着することに。
グッとペースが上がる。
やはり道具は使ってナンボですね。
安全な上に楽に歩ける。

あの素敵なモミ林まで戻ってきた。

ヌタ場はまだ凍結したまま。

やがてその森も抜けて、笹原まで到達。
振り返ると・・・

スッポンポンの矢筈山が眼前に広がっている。
濃霧に包まれた行きでは全く気づかなかった。
中央3つのピークが見えているけど、一番左端が矢筈山。
朝も晴れていたら、霧氷に包まれた最高の景色を拝めただろう。
うーむ、惜しい。

行きでも撮影した何かの花。
その時は背景真っ白でその背景に目指す頂上があるなど微塵も感じなかった。

旅も終盤戦。
朝とは雲泥の差の笹原絶景に同じ道なのか心配になるぐらいだ。
やはり登山は晴れた日に限る。

途中の”小岩”に寄り道。
登山成功をアピールするT。
だが悲しい事に四十肩の為に腕は上がりきっていない。

同じ岩から。
逆光で35倍くらい凛々しく写ってしまう。

詐欺写真撮影大会を終え、帰り道を急ぐ我々は遂に登山口を眼中に収める。

15:51 無事下山完了。
お手軽コースと思っていながら丸々一日使い切ってしまう。
予定の黒笠山は残念ながら断念する事になってしまったが、矢筈山のみでも十分すぎるくらいの満足感。
朝はどうなるかと思ったが、結局天候も快晴となったし、霧氷も見ることができた。
モミ林は最高すぎたし、頂上からの展望も文句のつけようがない。
いろんな魅力がギュッとつまった、いい山である。
ただし今回は少なかったとはいえ、この辺りは四国でも雪が多い地域。
ロープのある急登区間や、太陽の当たらない北側斜面のトラバース区間など慎重に進むポイントもある。
冬期の装備はしっかり準備することをお勧めします。

さて次回はどこへ行こうかな?
ではでは。




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