森の旅 

To the world where you've never seen.

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【山で本読み】第一回 スラムダンク #8 井上雄彦著

約4分


みなさん、最近本を読んでいますか?
活字離れが叫ばれて久しい今日この頃。
出版業界は厳しいと聞くし、昔からあるような街の本屋さんはどんどん姿を消している状態。
インターネット、そしてスマホの登場でそれまで本から得ていた情報は、指一本で簡単に得られるようになった。
とてもスピーディーだし、場所も取らないし便利なのは間違いない。
でも私は従来の、紙の束としての本が好きだ。
厳密にいうと本の中の文章を読むという行為が好きというより、本自体が持つ物理的な質量、匂い、肌触り、そして本がある空間を死ぬほど愛している変態である。
本が好きすぎて無駄に仕事やプライベートの外出時の鞄に忍ばせていたり。
そりゃたまには外でも読むけれど、ほとんど持っているだけだったりする。
枕元には常に数冊本が積まれているが、本を開くとすぐに眠気の襲われてしまうので、パラパラめくるだけで一向に読了しないがそれでもいい。
とにかく生活の中に本という物体があれば落ち着く。
本は私にとっての最高の癒しアイテムと化している。

そんな、大好きな本を大好きな山へ持ち込んでみようというのが当企画の趣旨である。
もちろん今でも山で泊まる人は暇つぶしに文庫本なんかを持参する人もポツポツいるだろう。
しかし日帰り、もしくはほんのちょっとの散歩程度の山歩きにもどんどん本を持って行ってみたらどうだろう?
山で本??
そんな野暮な事を!!!という人もいるだろう。
せっかく日頃体感できないような大自然の中に身を置いているのだ。
めいっぱいその時間を山を感じる事に費やすべきだと。
それに日帰りピストンなのに本を読む時間なんてあるわけ無いと思うかもしれない。
そもそも嵩張るし、荷物も重くもなるし。
確かに。
でも。
全部読まなくていい。
1ページでもいいし、1節でもいいかもしれない。
なんなら読まなくてもいいかも。
休憩時パラパラ眺めるだけとか。
誤って六法全書を持ち込んだのならガスストーブの台にするとか。
100ページの本を山へ行くたびに5ページぐらいづつ読んで20回で読みきってみたり。
もちろん小説などの文学作品のみに限らず、漫画でもいいし、絵本でもいい。
辞書なんかでも、写真集でも、もちろんエロ本でもいい。
とにかく本という物体を、山へ持ち込んでみて、どう感じるかだ。
大好きな本 meets 大好きな山の空間。
最高に最高を掛けると、もちろん最最最最最高〜〜!!となるはずだ!!
ならなきゃおかしい!!

ここではそんな、是非山で読んでみたいおすすめ本を大紹介。
皆さんも是非山に本を持ち込んでみましょう!

もちろん選書は23specialの独断と偏見で行われている為、かなりの偏りが発生する。
それはご了承頂きたい。

というわけで記念すべき第一回。
これを外すわけにはいかないだろう。
国民的名作 スラムダンクである。
いきなり漫画で申し訳ない。
その中でも8巻。
挫折を味わい一度はどん底まで落ちてしまった三井が安西先生の言葉で復活する、大感動の巻である。
一家に一冊、いやバックパックに一冊のもはや古事記レベルの必需図書である。

歩き始めて10分、いきなり息も絶え絶えとなり、日頃の不摂生を呪い、登山に来た事を後悔しているそこのあなた。
頂上はすぐそこなのにわざわざ謎の大苦行迂回ルートを自ら選択し、持ちうる知力体力そして人間の尊厳をも削り取られてしまった、根っからのおマゾなそこのあなた。
いつ山に来ても、展望ポイントでは必ずホワイトアウト状態で遂に心が折れかかっているそこのあなた。
できれば歩きたくない林道をなぜか必ずコースに入れ込んでしまうそこのあなた。
頂上でカップラーメンのお湯を沸かそうとして、ガス缶を忘れている事に気づいたそこのあなた。
家族に山行を反対され、半ば無理やり抜け出してきてしまい、帰ってからの事を考えると登山どころではないそこのあなた。
毎年夢の遠征計画を立案するけれど、必ず実行にうつせない有言不実行なそこのあなた。
必ず二日酔いで山を登ってしまう、そこのあなた。
遂には、もはや山だけにとどまらず、人生自体をこじらせ気味なそこのあなた。

そんな絶望の縁に追いやられた山好きな全てのboy & girlにオススメ。

ジャンプコミックス 井上雄彦 1992




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