森の旅 

To the world where you've never seen.

湧く湧く!!盛夏の鳥取大山を行く!!

約8分


山歩き日 2020年8月13日

今年もついにお盆がやってきた。
私のような永遠に夏休み大好き、精神年齢14歳おじさんは嬉しさのあまり目眩を覚えているほどだ。
しかし現在全国的に再びコロナ感染増加中で厳しい状況。
遊ぶにもしっかりとした最低限のコロナ対策は必要だ。
すっかり日課となった検温、マスク、アルコールペーパー装備。
ソーシャルディスタンス確保はもちろんの事、お店などで極力無駄な接触を避ける。
本当に世界が変わった。
いつまで続くのだろうか。
そして元に戻ることはあるのか。

さて今回はお久しぶり、鳥取大山へ向かう。
行き先はいろいろ検討していたが、コロナ、そして天候などを考慮し大山に決定した次第。
出発時高知は大快晴。
期待にワクワクである。
とにかく今回は夏山らしい一枚が撮りたい。
真っ青な空の奥に浮かぶ入道雲、そして大山の深い緑に色とりどりの高山植物。
コロナで悶々している気分を吹っ飛ばすような、最高に夏な一枚を是非!!

6:10 香川のT宅で合流し、一路大山を目指す。
しかし。
なんとなく上空の雲量が増えてきているのが気がかりだ。
まさかね・・・
瀬戸大橋を通過し、岡山県を北上。
上空の雲はますます増え、あたり一面どんよりとしたグレーの世界。
夏というよりは冬のロンドンの雰囲気。
もちろん行ったことはないが。
そしてついに。
フロントガラスに水滴が・・・
いやいやおかしいだろう。
私は夏を撮りに来ているのだ。
それも完全な”夏 of 夏”だ。
そのために当初の予定を変更し、数々の候補を検討し、一番晴天の確率が高そうな大山に決定したのではなかったのか。

9:20 失意の大山駐車場に到着。
山頂どころか山がそこにあるのかないのかわからない位一面ガスに覆われている。
夏山登山道近くの南光河原駐車場はすでに満杯。
予定ではまだ歩いた事がない、ユートピアコースの予定だったけど、この天候で断念。
というか、そもそも山登り自体も断念しようかと思うほどまでテンションが下がっていたが、とりあえずせっかくなので元谷経由夏山登山道で行くことに。
途中で奇跡的に晴れるかもしれないしね。

9:40 準備を整え出発。
まずは大山寺の参道を進む。
見ての通り上空は真っ白。
それも均一な、一面真っ白。
青空が進み出る隙間なぞ一切ない様子・・・

photo by T

うーむ、幽玄で素晴らしい情景。
嫌いではない。
いやむしろ大好きなぐらいの雰囲気なのだが。
今日だけは・・・
今日だけは違うのである・・・
もっとストレートな ”夏” をワタクシは切望している・・・

神妙な手水舎を通過し、

威厳に満ち満ちた石板を堪能し、

1796年に敷き詰められたとされる、日本一長い石畳道に思いを馳せながら先へ進む。

以前来たときは下りで歩いたルート。

雰囲気良かった記憶があるが、本当に良い所だ。
神社仏閣好きの方はたまらないだろう。

10:25 のんびり撮影しながら奥神山神社に到着。
ここまでは一般参拝客も多い。

境内の裏に行者道登山口がある。
この道を進むと、6合目付近でメインルートの夏山登山道に合流する。
途中北壁全体を仰ぎ見る事ができる、元谷河原という場所を通過するのだが、ここからの景色が本当に素晴らしい。
通常の夏山ルートでは見られない風景なので、行きか帰りかどちらかでも良いので歩いてみてほしい。

10:30 行者登山口を出発。

鬱蒼とした森の中を進む。

深い、深い森。
大山周辺は西日本最大のブナ林で有名。
だが行者道にはブナに混じって杉の大木がチラホラ。
神社と関係がありそうな、ないような。

とても良い雰囲気。

欲張りすぎて枝を出しすぎました感がすごい。

ブナとの共存。
霧でしっとり濡れていて、艶かしい。

ヤマジノホトトギス。

ソバナ。

ミヤマママコナ。

行者道は夏山メインルートに比べて人が少ないみたいで、じっくり撮影しながら進む事ができた。
あまりにゆっくり過ぎてかなり遅れている。

苔むした倒木から新芽がニョキッと。
可愛らしい。

ヤマアジアサイ?

シシウド。

11:05 元谷へ到着。
む、無念。
やはり案の定、大山山頂は湧く湧くガスの中。
ここからは雄大な北壁が見渡せる筈なのだが。

いよいよ悲壮感が漂ってくるトレイル。
・・・。
ワタクシの・・・夏は・・・どこ・・・です??

北壁の足元を望遠で。
ここが中国の桂林ならこの水墨画のような景色も許されるだろう。
だが、ここは日本の鳥取県で、それも今現在 ”THE 王道の夏山写真” を撮りたくて仕方がない私にはまったく響かない・・・
なぜ今日がこうなんだ・・・

と思っていると、一瞬ガスが切れた。
象ヶ鼻かな?
方向的にはそっち側だった。
確認する間も無く、再びガスに包まれる。
だが少し希望が出てきた。
奇跡的に晴れる事を祈りながら先へ進む。

元谷を過ぎると勾配は徐々にキツくなってくる。
ここからは階段地獄。
辛い時間帯。
でも周りは豊かなブナ林に覆われており、気分は良い。

高度が上がるにつれて、ガスに包まれていく。

艶かしいブナその2。

photo by T

を、撮るワタクシ。
山頂付近は工事中なのね。

ガマズミの実。

ホソバノヤマハハコ。

艶々の葉っぱ。
雨が降っているわけではないが、水分をたっぷり含んだガスに覆われて、緑はいきいきしている。

たるみまくった体には辛い上りが続く。
秘技”写真撮るふりして大休憩”を実施しながら登り続ける。
フゥ〜〜。

12:10 ようやく夏山道に合流。
コースタイムから約30分は遅れている。
少し休憩し、先を急ぐ。
相変わらずの階段地獄続き。
夏山道に入ると人の数が急に増えた。

振り返ると一瞬下界がチラリ。
これは期待できるかも!

足元には相変わらず可愛らしい花がたくさん。
シモツケソウ。

シコクフウロ。

ノアザミ。

ダイセンオトギリ。

可愛らしい花を撮りながら進むのだが、天候は相変わらず回復せず。
というかますます濃くなるホワイトベール。
しかも樹林帯を抜けると、かなり強い風も吹き付けている。

8合目を通過。
頂上はあと少し。

やがて道は木道になる。
階段地獄がやっと終わった。

石室への分岐に到着。
左へ行くと頂上、右へ行くと石室を経由して頂上だ。
今回はそのまま左へ。

ダイセンキャラボクの純林帯。
約8haの群落は日本一の面積だという。
ガスがなければ、キャラボク越しに下界の景色を堪能できる筈だが・・・

かなり頂上まで近づいていると思うが、湧く湧くガスのせいで全く先が見通せない・・・

木道からお花畑が。
サラシナショウマが気持ち良さそうに風にゆらゆら・・・
というか強風でグワングワンと揺れている・・・
登り続きで火照った体にはこの風は大変心地よいのだが・・・
天候は全く回復しそうにない。

少し離れた花を狙おうにも、ガスって見えにくい・・・

13:30 頂上、というか仮設ベンチに到着。
道中の看板通り頂上小屋と6合目避難小屋などが今年10月末まで絶賛工事中の様子。
つまり晴れていても剣ヶ峰方向は見れなかったという訳だ。
まあ辺り一面ガスが晴れる様子もない。
そのうえ少し休憩していると、けっこう寒い。
とても『THE 王道夏山写真』が撮れる状況ではなさそうだ・・・
まあ、薄々は分かっていたのだけどね・・・
雨でないだけマシなのか・・・
気を取り直して、とりあえず昼ごはん。
今回はフランスパン を持参。
サンドイッチを作る。
といっても自宅でカットしてきた具材を挟むだけだが。
先日ネットで見たレシピをそのまま再現。
バター、マヨネーズ、ピクルス、スライスチーズ、生ハムの順番にサンド するだけ。
だがこれがかなりイケる。
美味しい。
調理器具もいらないし、余分な水分も持たなくていいし。
日帰りでサクッと食べるには十分過ぎる。
具材を工夫したり、もっと軽めなフランスパンに替えるとなお良さそう。
いろいろ試してみよう。

14:25 お昼を済ませると、早々に下山開始。
全く晴れそうにないし。
いよいよ諦めるしかない。

いきなりワープ。
6合目避難小屋。
こちらも工事中で立ち入り禁止だ。
往路では沢山の人が休憩していたので、写真はスルーしたのだけど、帰りには一気に静まりかえっていた。
2mのソーシャルディスタンス看板が今年っぽい。
というかこんな世界がこれから普通になるのか・・・
むむむ・・・

夏山登山道も永遠に階段。
崩れやすい地質らしいし、きちんと整備されているのは非常にありがたいのだが、ワタクシ苦手です。

相変わらずブナ林は最高。
前回訪れたのも夏だったので、紅葉の季節にもぜひ訪れたくなる。
もちろん快晴の日に。

いい森。

だいぶ降りてきて、ついにガスを抜ける。
太陽光が差し込む明るい森にチェンジ。

最後の階段。
夏山道は本当に階段だらけ。
一体何段あったかのだろうか?

16:10 夏山登山口へ無事下山完了。
駐車場から山を見上げてみるが、出発前よりはガスは随分マシになってはいたが、やはり大山がその姿を現すことはなかった。
無念・・・

結局夏らしい写真は撮れなかった。
しかしそこはやはり日本百名山に名を連ねる大山。
見どころは沢山あった。
荘厳な大山寺、奥神山神社への石畳。
杉の巨木が混じる、境内裏の深い森。
笑えるぐらい敷き詰められた丸太の階段。
そして西日本最大級を誇るブナ林。
キャラボクの群生に至っては日本一の規模だ。
そして色とりどりの高山植物。
やはり天気が悪くても山登りは楽しいものだ。
ありがとう大山と、
気持ちよくブログを締めくくろうとしているワタクシの
目の前に
その翌日から
これほどまで晴れ渡る事はないだろうっというほどの
大快晴の大山の夏山写真が
ヤマップをにぎわしている事を知り
歯ぎしりのしすぎで
お盆休み明けは
歯医者にでも行こうか悩んでいる男からの投稿・・・

ではまた・・・

ちなみに帰り道の蒜山パーキングエリアにて。
綺麗に晴れ渡る蒜山三山。
なかなか渋い山だ。
ここも歩いてみたいねぇ。




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