山歩き日 2017年12月23日
いよいよ2017年も残りわずか。
毎年、齢を重ねるごとに加速しているんじゃないか時の流れはっと感じるほどあっという間に1年という時間は過ぎ去っていく。
今回は剣山系の鋭鋒、天狗塚へ行ってきた。
前回の蟠蛇ヶ森が17日の日曜日、今回が23日の土曜という事で、このくそ忙しい年末に遂に週2登山達成。
家の大掃除も年始の準備もまだ何も行われていない中での強行軍。
もちろん家族の視線は凍てつくほど冷たい。
今回の天狗塚稜線での風の方がまだ数段暖かかったのではないだろうか・・・
まあ、とにかく雪山に行きたいっという事で、もう誰にも止められないのである。
遂に買ってしまったアイゼンの記念すべき初使用登山でもある。
同行はいつものT。
果てしない絶景へ、興奮のスタートだ。
いきなりの写真がこれだ。
日本が世界に誇るスーパー小型貨物自動車、【軽トラ】の荷台に詰め込まれて運ばれている我々。
写真には写っていないがもちろんTも隣に鎮座している。
天狗塚には北側徳島側からアプローチするルートと南側高知からアプローチするルートが存在する。
今回選択したのは北側、阿佐名頃林道登山口から直登するルートで、おそらく天狗塚への一番メジャーなルートだ。
大歩危橋を渡り、祖谷のかずら橋を通過し、国道439号線を東進する。
林道へは国道439号線上の久保からも入るれるし、その先菅生からも入れる。
今回は菅生からとし、三嶺への登山口である、菅生いやしの温泉郷を通過し、天狗塚登山口を目指していたのだが・・・
案の状凍結路面に出くわし、普通のノーマルタイヤでは全く先にも後にも進めなくなってしまったのだ。
登山口がある標高1000m程度まではおそらく行けるだろうと踏んでいた我々。
いきなりのトラブル発生だ。
ちょうど近くにいた地元のおんちゃんに手伝ってもらい何とか凍結してないエリアまで進めた我々。
このまま引き返し別の山に登るか、どうしようかなっと思っていると・・・
Tが「おんちゃんが登山口まで積んでいってくれるらしいけど、どーする?」という。
もちろんありがたい話だが、帰りは林道歩き確定となる。
距離もまだまだ随分あるような・・・
だがしかし、せっかくの好意を断るわけにはいかない。
そして、【果たしてどれくらい距離があるか、どれくらい時間もかかるか分からないが、とりあえず向かってみよう】というずさんプラン大発動。
ありがたく、オジサンの軽トラに飛び乗った訳である。
トラブルのおかげで(約1時間無駄にしてしまった。)この時点で10時を過ぎており、登山、特に冬山登山では随分遅出となる時間帯。
不安が募る。
その不安を吹き飛ばすように、快調に軽トラは進んでゆく。
順調に・・・
快調に・・・
ザクザクと・・・
永遠に・・・
・・・
・・・
おぉいっ!!!!
いったい何時つくのかっ!?
更に不安に駆られながら、たっぷり30分車に揺られて、10:35登山口着だ。
たまたま今日林道に来ていたという地元のおんちゃん。
滑らかでショックの少ない、優しい運転の仕方にその人柄があらわれていた。
本当にお世話になりました、ありがとうございました<(_ _)>
12月23日現在、温泉郷から数百メートル地点から路面凍結中。
下山時にはいくらか溶けている部分もあったが、基本スタッドレス必須である。
初めてのアイゼンも装着し、いよいよ山歩きのスタードだ。
時計は10時50分を指している。
とりあえず登り3時間、下り2時間、林道歩き2時間で、ぎりぎり18時車着、少しでも無理そうなら途中で引き返すで行こうという事になる。
後で判明するが、この計算には頂上での休憩時間を入れ忘れている・・・
まずは植林帯を登って行く。
薄っすらトレース跡がある。
朝は青空も覗いていたが、案の定スタートするころには一面曇り空。
しかし視界は効くので今のところ問題はない。
ただ、曇り空と青空ではテンションが、、、ねぇ。
更に追い打ちをかける帰りの林道歩きの件。
その事を思うと更に憂鬱な気分だ。
植林地帯を通り過ぎると、自然林の森になる。
時折こうして太陽の光を降り注いでくれる。
少しの光でも、薄暗かった森がパッと輝く。
ただそれはなかなか長続きしない。
この時点までは雪の深さはそれ程でもなく、新調したアイゼンで確実に登って行けている。
11:50 1479mピークに到着。
今回はゆっくり休憩する時間はないので、衣服の調節をしてそのまま前進する。
更に高度を上げて行くと、高木は姿を消し、灌木中心の森へと変化していく。
雪の量もどんどん増えてきてヒザぐらいまで時々踏み抜くようになってきた。
よじ登るほどの急登ではないが、天狗塚への道は登り一辺倒の道。
なかなかにしんどい。
画面左側の冠雪している山が寒峰、中心が前烏帽子山、右側のなだらかな部分が落合峠だ。
この絶景に元気をもらう。
更に高度は上がり、笹原に出る。右に目をやると馬の背が見える。
天狗塚から奥へ伸びる稜線だ。
天狗塚自体はまだ見えてこない。
いよいよこの辺りになると雪も深い。
時折腰まで踏み抜くようになる。
2人とも踏み抜くたびに、ウヘへェとかグヌヌゥッとか喜んでいるのか苦しんでいるのかよく分からない声を出しながら進む。
あと少しが、遠い。
しかし、それでも一歩一歩進んでいると・・・
鋭く尖った山容が痺れるほどカッコイイ。
遠目には岩山のように見えるが、実際は笹原とコメツツジの山だ。
降り積もった雪のおかげで所々顔を出している笹やコメツツジが岩肌のように見える。
この稜線にももちろん登山道はついている。
天狗塚が見えたのでテンションがウルトラヒートアップしていたが、だんだん落ち着いてくるとこのどんよりとした天候が気がかりだ。
更に稜線に近いので風もなかなか強くなってきている。
今朝家を出る時の家族の視線よりは暖かい風だが、しかしかなり冷たい。
時間も気がかりだ。
そこを目指して先を急ぐ。
急ぐといっても時折踏み抜きながらなのでなかなか進まない。
しかし遂に東側を向くと西熊山~三嶺、そして次郎岌、剣山が視界に飛び込んできた。
稜線に上がりきったようだ。
西山が登ってきた方向。
左へ行くと三嶺、西へ行くと天狗塚だ。
周りは見渡す限りの大絶景。
左側のなだらかな山が綱付森。
そして天狗塚で隠れてしまっているが、その奥が今年9月に登った土佐矢筈山だ。
左から寒峰、前烏帽子山、烏帽子山、落合峠を挟んで矢筈山、サガリハゲ山、黒笠山。
素晴らしい。
ここで2人組の方と出会う。
天狗塚登頂を果たして帰路だと言う。
後で遭遇することになるが、この辺りをよく歩いている大ベテランの方が今現在頂上へ向かっていると教えてくれた。
我々もどうするが悩んだが、もはや制限時間一杯。
ここで無念ではあるが、天狗塚頂上は断念することにした。
今からそのまま下っても登山口で15時半、車までの林道歩きが2時間として17:30分になる。
おそらく車につく頃は真っ暗闇だろう。
林道歩きも2時間としたが、実際はどれほど掛かるか分からない。
という訳で、早々に下山を開始する。
よく考えたら昼飯がまだなのでどこかで食べないといけないが、とにかく風の弱まる樹林帯まで戻る事にした。
この時、このずさんプランでは無事頂上に3時間で着いていても休憩時間0分であったことが判明する。
名残惜しいが戻らなくてはならない。
登りであれほど苦労した(ほぼ先頭を進んだTの方がよっぽど苦労しただろうけど)つぼ足ゾーンも登りの時についたトレースをなぞるように進むとザクザク進む。
楽しい。
すると突然後方からザザザッと奇妙な音が聞こえてきたかと思うとTが突然尻セードを始めた。
というか、尻セードと思ったけど、ちゃんとヒップそりを用意してきているようだ。
さすが前回雪だるまの前科がある40手前おじさん。
童心に戻るのは何より得意なようだ。
ちゃんとスピード感が出るように流し撮りで撮影しろと言っていたが、ワタクシの腕の無さもあってまるで停止しているような写真になってしまった。
余りに雪が柔らかい為なのか、全然ヒップそりの浮力が追い付いていなくて、まるでスピードが出ない。
数メートル滑って停止の繰り返しだ。
いくら腕が良くても止まっている物を流し撮りは出来ない・・・
それでもTは楽しんでいるようだ。
ムムム。
羨ましい。
次回緊急手配が必要な山道具??がまた一つ増えた。
予想よりペースが良いので、ちゃんと休憩を入れる事にした。
まずい訳がない。
体の奥から温まるようだ。
休憩を終え、下っていると、後ろからスノーシューを付けた方がものすごい勢いであっという間に我々を追い越し下って行った。
おそらく峠で出会った2人組の方が教えてくれた、この界隈をよく登っておられるベテランの方かなっと思っていたらやはりそうだった。
スノーシューを取り外すために休憩しているところに再度我々が差し掛かったのだ。
そして今日は菅生~三嶺~天狗塚~西山林道登山口~林道を菅生温泉郷まで歩く計画だと教えてくれた。
凄すぎる。
更にスノーシューの情報もゲット。
どうやら更に必要な山道具が増えたようだ。
しっかり休憩を入れながらも2時間で下りてくることが出来た。
ここから延々と林道歩き。
のちに判明したが、車まで距離にして約5.5kmだった。
寒峰は福寿草の群生と笹原の大展望で有名だ。
いずれ登りたい。
夕闇に押されるように林道を進む。
そして遂に。
いつも感じるが、延々続く林道歩きのゴールは本当に嬉しいもんだ。
何とか日没にも間に合った。
路面の凍結もまだまだ残っているが、朝よりは緩和されている。
無事林道を脱出し、帰路につくことが出来た。
残念ながら山頂までは行けなかったが、天狗峠からの展望が見れただけでも良しとしなければならない。
あまりにずさん過ぎた今回の山旅。
夏山なら何とかなってしまうような場面でも、雪山では一大事になってしまう。
登山口へのアプローチしかり、時間配分しかり、雪山装備しかり。
ずさんプランナー検定などがあれば、ほぼ教官クラスの我々だが、より慎重な判断が必要であると大反省・・・
次回。
正月早々、家族の冷凍眼光線を避けきって、早春記念大快晴雪山満喫登山の予定だ。
やはり、山歩きはやめられない。