森の旅 

To the world where you've never seen.

, …

剣山〜一ノ森 笹原の大展望とシコクシラベの森を行く

約10分


山歩き日 2019年11月3日

今回の山旅は、剣山。
私が未だかつてその頂きにて展望を得られたことのない山。
それも必ず登り始めは晴れているのに、到着する頃にはホワイトアウトしてしまう、相性の悪い山である。
もはやうなぎと梅干しの食い合わせレベル。
いや、スイカにエビフライ。
血液型A型とB型。
とにかくソリが合わない。
しかし。
この度、秋の高気圧に覆われたゆるやかな日曜日に遂にリベンジマッチが決定。
紅葉も終わりかけ、雪はまだの中途半端なこの時期に、積年の課題を克服する!

今回の同行者はいつものT、そして私の長男Y。
Yはあんなに登山は嫌だと言っていたのに夏に紫雲出山行った後からは別にまた行ってもいいと言い出した。
いったいどうしたんだろうか?
理由は定かではないが、密かに嬉しいのである。
予定では剣山〜一ノ森を縦走予定。
Yにとってはこれまでで一番長いコースとなる。
今回の計画を剣山にしたのは色んなコースがあり、山荘やトイレの設備が行き届いている上、リフトもあるのでどんな状況でも下山しやすい為。
できるなら一の森まで行きたい。
実際どれくらい歩けるかも分からなかったので、登山開始の時間を早めに設定。
なので前日入りして登山口で車中泊にする事に。
21:00家を出てTとの合流地点である大歩危のコンビニへ向かう。
22:00合流。
ここからが長い長い見ノ越までのルート。
暗闇の中延々と車を走らせる。
仕事終わりで眠~い。
何度か意識を失いかけながら24:00過ぎに見ノ越に到着。
もちろんYはとなりでずっと寝ている。
すぐに準備して寝袋にくるまって寝る。
頭上にはありえない程の星空が広がっている。

5:00 起床。
コンビニで買っておいたおにぎりだけの朝食を済ます。
Yはまだまだ眠そう。
5:40スタート。
到着直後の満天の星空は消え失せているが、ガスで真っ白というほどではない。
しかし嫌な予感。
真夜中の快晴が復活してくれるだろうか。

階段上ってすぐの劔神社で無事登れることをお祈り。

木々の間から朝焼けがを色を増してきた。
ピンと張りつめた空気にゆっくりと光が差してくる。
いつも思う、やっぱりこの時間帯が一番好きだ。

標高1900mを超える剣山頂上付近では紅葉は完全に終了している様子。
歩き始めの見ノ越周辺(標高1450m)ではまだ色づいた葉が残っている木もあった。

っていきなり座っているし!
Yは今回椅子になりそうな石や切り株などがあればすべてに座り込み、休憩を取ろうとする技を習得した様子。

photo by T

西島駅へのルート。
雰囲気いい自然林の中を進む。
Yがすぐ休憩するのでなかなか進まない^^;
でも大丈夫、時間はたっぷりある。
ゆっくり行けばいい。

西島駅が見えてきた。
その上空の空色を確認して、私は大きくため息をつく。
ああ、やはり、そうなのか。
剣山よ。

7:02 西島駅に到着。
前に登った丸笹山が見える。
北側の空も雲量多め。

このあたりでも色づいた葉が残っている。

手書き風のナイスな看板で剣山へ向かうルート確認。
刀掛けの松経由で尾根道を直登する。
距離にして900m、40分との事。

先へ進んでいると、なんとこのタイミングで太陽光が降り注ぎ始める。
なんとか頂上で絶景を見たい、そしてYに見せたい。
晴れてくれ〜〜

青空まで出現!
これはなんとかなる!

7:34 刀掛けの松へ到着。

Yはベンチで横になって大休憩。
すると先ほどまでの青空は瞬く間に姿を消し、代わりに白いガスが大出現。
ああ、剣山、やはりそうなのか・・・

先へ進むのだが、ついにガスは我々をすっぽり包み込む。

8:00 頂上ヒュッテ到着。
安定の展望。
遠く瀬戸内海のキラキラ輝く海面が目に刺さる。
その奥に見えるのは大山か。

おお、息子よ。
その高性能望遠レンズには何が写るのか。
何も見えないだろう!?

photo by T

どこ見てんのさ。
というか、何気に望遠レンズの柱元の”無”が全てを暗示していたような気がする^^;

とにかく山頂へ行こう。
あと250m。

霧に吸い込まれるように木道を進む。

頂上への木道は3コースぐらいに分かれている。
向こうに見える別ルートを誰か歩いている。
ほんの数10m先なのにこの視界。
もちろん展望など得られるはずもない・・・

しばらく頂上で写真撮ったりしていたが、一番ガスが晴れた時でこの写真。

諦めてヒュッテに戻る。
戻り際一瞬晴れそうなタイミングがあったが、やはり無理。
このまま一ノ森へ向かっても稜線上からのせっかくの展望を楽しめない。
とりあえず時間は早いが飯休憩にする。

今回カップラーメンは止めて、メスティンでご飯を炊いて親子丼と野菜たっぷりコンソメスープを作る。
白米をジップロックに入れて水につける。
約20分間必要なので、その間にスープを作る。
あらかじめ家で具材は切ってきた。
ベーコン、ウインナー、じゃがいも、玉ねぎ、人参。
適当に水を入れて具材を茹で、コンソメの素をパラパラ、塩胡椒パラパラ。
簡単簡単。
しかし素晴らしく美味しく完成。
Yがあっという間にたいらげる。
勢いが凄すぎて完成写真を撮り忘れる。

次にメスティンで一合の白米を炊く。
はじめ中火、吹きこぼれてきたら重しをして弱火にする。
炊き始めの時間をチェックし忘れてしまって、吹きこぼれ方や匂いを嗅いで適当に火から外した。
少し蒸らす時間の間に、親子丼の具材作り。

YouTubeで上がっていた、焼き鳥缶詰を使っての方法でお手軽に作ってみた。
玉ねぎ、ほうれん草、焼き鳥缶詰、卵。
味付けは袋入りのうどんスープの素。

親子丼完成。
味は・・・イマイチ・・・。
焼鳥缶詰のタレが逆効果。
肉だけ入れて、タレは混ぜない方がいいみたい。
だが、もちろん完食。
調理中に隣に居合わせた岐阜出身の方から鶏ちゃんなる差し入れを頂く。
タレに漬け込んだ鶏肉と野菜を焼いて食べる岐阜の名物料理らしい。
噛むと味が染み出す感じで大変美味しい。
一緒に居た神戸出身の彼女さんも随分気に入っていて、山でもよく食べるらしい。
今度試してみようかな?
ジップロックに漬け込んで、焼くだけでいけるなら理想的な山飯になりそう。
岐阜の方、美味しい差し入れありがとうございました!
本当はナイスな親子丼をお返ししたかったのですが、グヌヌな味になってしまい躊躇しちゃいました^^;

約1時間の休憩でガスの状態も少し改善。
10:07 上空には分厚い雲が横たわってはいるが、一ノ森へ向けて出発することに。

剣山を振り返る。

ガスも晴れて次郎笈がお目見え。
相変わらず男前な山である。

今回は新たな望遠レンズが初参戦。
Tamronの70-200mm。
現行のやつ。
A025。
なかなか解像もするし、いいレンズである。
しかし重い。
1.4kgを超えている。
登山には不向きだなぁ〜。
でもこれからも持ってきてしまうんだろうな。

200mmで次郎笈の登山道を撮る。
何人もの登山客が見える。
さすが現行レンズ、性能は申し分ないようだ。

モノクロに現像。
何回も言うが、本当にかっこいい山である。

たっぷり次郎笈と剣山を堪能して先へ進む。

やがて白骨林の森へ。

白骨林をから再度笹原に出て少し登り返した小ピークに祠がある。
辺りは白骨林とシコクシラベと苔と岩の魅力的な森。
ニノ森との表示があった。

全ての座りやすそうなポイントを試す男。

ポツンと紅葉が残っていた。

小ピークの森を下ると再度笹原に出る。
中央のピークが目指す一ノ森だ。
あと少し。

一ノ森から視線を右に振ると槍戸山。
あそこからの剣山〜次郎笈の姿がこれまた絶景らしい。

笹原に乱立すつシコクシラベ。
シラビソの変種で、四国の標高1700m以上の一部にしか生育しない、常緑針葉樹。
絶滅危惧種に指定されている。
この辺りから槍戸山付近はシコクシラベの保護林となっている。

photo by T

いよいよ一ノ森が目の前に近づいてきた。

一ノ森とニノ森のコルに到達。
新田次郎の歌が刻まれた石碑がある。
さて、ここから最後の登り。

photo by T

ゼーハーゼーハー言いながら頂上手前の見晴らしが良いポイントに到達。
素晴らしい眺め。
シャッターを切る手が止まらない。

11:05 そして遂に一ノ森頂上に到着。
水色屋根の一ノ森ヒュッテが可愛らしい。

営業は10月末までと思っていたけど、どうやら11月上旬はまだ営業中との事。
ここに泊まって朝晩じっくり写真を撮ってみたいなぁ。

Y  & T。
うむうむ、本当の親子のようだ。
しばらく頂上付近を徘徊する。

11:35 一ノ森を出発。
帰り道は先ほど歩いてきた稜線の北側斜面をトラバースするルート。
深い自然林の森を通過する。
大展望の笹原歩きも大好きだが、やはり、私は森歩きが好きだ。

森の中は予想に反して本格的な登山道。
お助けロープが設置されている所や、慎重に進むべきポイントが数カ所ある。

霧に包まれた、幻想的な森を行く。

綺麗な緑。
苔が好きな人にはたまらないんじゃないだろうか。

いよいよ霧は深く、森は深くなっていく。

森の中は写真多め^^;

やがて異様な光景の場所に到達。
シカによる被害で裸地化している。
ある一角がネットで仕切られて保護されていたが、その中は鬱蒼とした下草が生えていた。
増えすぎた鹿の問題は今や全国各地に存在する。

穴吹川源流の谷と看板がある。
少し危なっかしい橋を渡る。

沢がプチ滝になっている。
冬季は氷柱が楽しめそう。

12:28 岩がゴロゴロの行場に到着。
ここで鎖場へ向かうルートと刀掛けの松へ向かうルートへの分岐となる。
少し休んで、刀掛けへ向かう。
地味にここから登り返しがスタート。

いろんな所に祠が点在している。
剣山は古くから修験道の山として知られている。

行場から刀掛けへの登りが地味にキツい。
結構登り返すのである。
しかし周りの森の雰囲気は最高。
一ノ森への往復で稜線の大絶景笹原歩き、そして自然林歩きと一度に二度美味しい、最高に贅沢なルートであった。

13:05 ついに刀掛けまで戻ってきた。
Yは最後の登り返しでごっそり体力を持っていかれた様子。
かなりの疲労感を醸し出し、ベンチへ座り込む。

剣山山頂のガスはすっかり晴れた様子。
でも相変わらず上空は曇っている。

西島駅への下り道で三嶺が姿を現す。
相変わらずの存在感。
あんなに遠いのに。

西路駅が見えてきた。
帰りはリフトで下山予定なので実質本日のゴールと言える。
Yが最後の力を振り絞り先へ進む。
リフトをレフトと言い間違えながらずっと早く乗りたいと言っていたので感激もひとしおだろう。

西島駅より。
再度三嶺を激写。
足元にはテント場。

塔の丸もくっきり。
また行きたい山だ。

13:35 ついにリフト乗車。
ああ〜〜浮かした足が気持ちいい〜〜
そして乗車中本気で寝落ちしそうになる。
危険危険。
ここで寝ると本当に落ちる(^^;;

13:48 無事下山完了。

生憎の雲天の中の山行となってしまったけど、一ノ森の素晴らしさは十分過ぎるほど体感できた、素晴らしい旅となった。
貴重なシコクシラベの群生地を見られると言うだけでポイント高いのだが、何より一ノ森から望む剣山〜次郎笈は最高。
おそらく朝日、夕日共に一級の撮影ポイントになり得る。
お手軽に登ってこられる点、そして山荘、テント場もあるので今度は必ず泊まりで来たいところだ。
さらに今回運動不足気味の小学5年生でも歩けたぐらいなのだからファミリー登山にもうってつけ。
道はしっかり整備されて歩きやすいし、(北側斜面のトラバース道は数カ所で慎重な対応を要するポイントあり)何より稜線歩きは本当に気持ちがいい。
剣山だけでは物足りない方はぜひ一ノ森へも足を運んでみて下さい。
後悔はしないはずです。

ちなみに今回動画を作ってみました。
お暇な方はぜひ↓↓↓




Leave A Reply

*
*
* (公開されません)