山歩き日 2018年4月30日
遂にこの日が来た。
悶々としながら耐え忍んだ3ヶ月。
なんと3ヶ月だ。
3ヶ月も山へ行っていなかったのだ。
主は仕事の都合でなかなか山行を計画することが出来なかった為だが、まさかここまで間隔が開いてしまうとは思いもしなかった。
その間に短い短い四国の雪山シーズンの時はあっという間に過ぎ去り、今は新緑の真っ盛り。
いよいよ山が大きく動き出す季節になった。
世の中はGWへ突入し浮かれまくっている。
少しはその波へ乗らなくてはならない。
いや、乗りたい。
このままではマズイ。
半日休みが取れたこの日。
リハビリも兼ねて、簡単な山を検索。
当初は野地峰にしようかと思っていたが、直前で奥工石山へ変更。
ネットで数日前に登られた方の情報でアケボノツツジが開花しているようだったので急遽変更となった。
今回も同行はT。
彼は前日飲みすぎて、いきなり吐きながらの登場だ。
どうした?
GWの気配に早くも浮かれてしまったのか?
だが山を愛するこの男、少々の体調不良には動じない。
登るつもりである。
さすがである。
まあ、普通の凡人ならば翌日登山の予定があれば少し酒を控えめに・・・などと考えてみたりもするのかもしれないが・・・
あえてそこに突っ込むことはよそう。
野暮というものだ。
さて、奥工石山は東西に長い高知県のほぼ中央、その北部にある標高1515.9mの山である。
名前は俗称で、三角点名称は工石山とある。
他にも立川工石山などと呼ばれていて、高知県にもう一つある工石山と区別している。
この山へ来るのは実は初めてではない。
登山を始めた年の秋口に、一人で来ている。
岩と自然林の素晴らしい道と大展望の頂上からの眺めは最高だった。
コースタイムも1時間少々なので、半日あれば十分楽しめる。
ただこの山の弱点は登山口までのアクセスだ。
大豊ICから登山口まで数か所の分岐があるのみだし、ちゃんと標識もあるのでまず迷いはしない。
ただ、登山口手前10Kmほどが完全に未舗装の林道となっており、それも結構凹凸が激しい。
普通の車ではなかなか厳しいと思う。
車高が高い車がオススメである。
とりあえず登山口までの行程を。
11:50 大豊IC出口を左折。
西向き、本山方面へ車を向ける。
すぐに見えて来るスーパー末広大豊店の西側を右折し国道5号線へ入る。
トンネルを抜けてすぐのT字路を右折。
さらに北上する。
しばらく行くと左側に立川工石山への標識が出て来る。
やや見辛いかもしれない。
そこを左折し立川郵便局の前を通過し、あとは道なりに進むのみ。
途中から舗装が途切れてガレ道となる。
12:40 登山口着。
登山口には駐車場、無人小屋とトイレがある。
無料で利用できるようだ。
冷蔵庫などもあったのだが、電気は来てるのか?
12:50 準備を済ませて出発。(1170m)
白石神社の鳥居をくぐる。
心配していた天候も午前中の曇り空から一転青空も覗き始めて良い感じだ。
新緑が眩しい。
すぐに植林帯に突入する。
道は若干不明瞭。
赤テープを追って行くが、テープの数が多すぎて分かりづらい。
前回来た時は朝日を撮りたくて真っ暗闇の中テープ頼りに登っていたが結局迷ってしまった。
幸い稜線が見えて来たので直登して登山道へ戻ることができたのだが。
今回は明るいのでまだマシだが、注意深く進む必要があるようだ。
植林帯を抜けると自然林へ突入。
太陽を浴びて輝き出す。
幼木が多い、まだまだ若い森。
何十年と歳を重ねた大木は少ない。
なぜこんな分布になっているのだろうか?
植林帯だったが伐採された後放置されたのだろうか?
でもそれでは所々存在する大木の説明がつかない。
”大人”のブナはこれから葉を広げる態勢だ。
13:17 稜線に出る。(1320m)
ひんやりとしたそよ風が心地いい。
岩と自然林の稜線を進む。
所々ロープが設置された箇所があるが、特別利用しなくても登れるぐらいの程度なので安心だ。
稜線に出ると、所々にミツバツツジやアケボノツツジが現れ出す。
ただ、同時にさっきまで燦々と降り注いでいた太陽が隠れがちになって来た。
まあいつもの登山前登山後晴れ、登山中曇りのパターン。
通常運転といえば通常運転である。
この山は岩が多い。
変化に富んだ登山道で面白い。
13:33 竜王峠への分岐へ到着。
ここから白骨林で有名な本山白髪山へと縦走が可能だ。
もちろん今回はスルーして先へ進む。
アケボノツツジは満開。
華やかに山を彩る。
なだらかな稜線の道を進む。
雰囲気いい。
最高だ。
13:47 何度目かのロープをクリアして岩清水へ到着。
ここは水場になっている。
前回来た時は完全に枯れていたが、今回はチョロチョロと出ていた。
周りはブナの森になっている。
足元にはバイケイソウ。
14:02 頂上岩の直下に到達。
巨大な岩だ。
どうやらユルギ岩と名付けられているようだ。
ルートはこの岩の足元を右側へ巻くようについている。
ユルギ岩にしがみ付くように自生するアケボノツツジ。
14:10 岩を右に巻きながら高度を上げて行くとユルギ岩頂上に到着だ。
岩の先端には白石神社の祠が祀られていて、360°遮るものがない大絶景が広がっている。
実は三角点はこの岩の上にはなく、もう少し先にあるのだが、あまりの素晴らしさにここが頂上と呼びたくなるのも分からないでもない。
南西方面。
画面左奥が本山白髪山だ。
天空の白石神社の祠。
こちら側へ回り込むには画面左側の断崖絶壁の先端を歩かなくてはならず、結構怖い。
もちろん落ちると大怪我では済まない。
細心の注意が必要だ。
岩の先端より南東方面。
歩いて来た方角を見下ろせる。
手前のピークの裏、左側に登山口があるはずだ。
東側。
おそらく野鹿池山〜三嶺方面が見えているはずだが、もちろん同定なぞできない。
T with 頂上。
彼がこれ以上先へ進めなかったことは彼の名誉の為に伏せておく事にする。
それにしても、奥に見える本山白髪山、綺麗な円錐状のどっしりとした魅力的な山容だな。
また登りたい。
頂上から北側を振り返る。
三角点がある、本物の頂上はこちら側にある。
十分撮影を堪能した後、三角点を目指す。
14:32 ユルギ岩から5分もかからず到着。
一等三角点だ。(1516m)
どうやらここから北のピークへ向かう道もあるようだが、後に調べてみると熟練者向けの道との事。
ここでランチ休憩も考えたが、登り始める前に少し食べていたし、それほど空腹感もないのでそのまま下山する事にした。
コミヤマカタバミ。
シャクナゲの開花はもう少し先になりそうだ。
特徴的な倒木の横をすり抜けて進む。
下りだとロープがありがたく感じる場面多数。
急勾配の下りは慎重に。
やがて植林帯まで戻って来た。
この頃にはすっかり太陽も雲に覆われてしまって、不気味な暗い森へと変貌を遂げている。
15:26 下山完了。
往復2時間40分、うち休憩が約30分ぐらいだっただろうか。
かなりお手軽に楽しめる山だ。
半日プランで十分お釣りがくる。
さらにコースが短い割に色々変化に富んだ道で飽きない。
ブナの新緑、アケボノツツジ、シャクナゲの花、秋の紅葉。
ユルギ岩からの大展望はこの上ない程素晴らしい。
本当に魅力的な山である。
登山口までのアクセスに難があるが、逆にそのおかげで静かな山旅ができると考えれば悪くはないかもしれない。
立川川。
この川沿いに林道を下って行く。
水量も多く、綺麗な川だ。
今回の山旅はこれにて終了。
次回GWの真っ只中、名峰石鎚山の予定だ。
今年の山登り、出遅れた分遅れを取り戻さなくては。