森の旅 

To the world where you've never seen.

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剣山~次郎岌~丸石 春の道

約11分


さて、今回の森歩きは徳島県、剣山。

剣山と言えば、四国では2座しかない、日本百名山の一つ(もう一つは石鎚山)でとてもメジャーな山だ。

標高1955mと、西日本では石鎚山に次いでの高峰だが、登山口がそもそも高い(標高1400m)事、また中腹(標高1710m)までリフトもある為、気軽に登れる山となってる。

今回はどうしても山頂から朝日を撮りたかったので、初のナイトハイクに挑戦。

山頂で撮影を済ませ、そのまま次郎岌~丸石まで縦走し、二重かずら橋へ下山するルートとした。

今回も同行はT。

大歩危から439号線を見ノ越登山口へ向かい、途中二重かずら橋駐車場へ1台デポする。

気がかりなのは天候だ。

天気予報では朝から快晴との事だが、本当か?

そう感じてしまうぐらい、よろしくない。

予報士の方も攻めた予報を出したものだ。

高知から大歩危までも雨が降ったりやんだり。

今現在雨は落ちてはいないが、なんとか山頂でスカッと晴れてくれたらいいが・・・

見ノ越登山口到着は3:00。

数台車が停まっている。

3:30まだ真っ暗闇の中、登山開始。

少し先に先行者のライトがチラチラ見える。

良かった。

先行者がいると、少し安心できる。

特にこんな暗闇&熊の生息地での行軍では尚更だ。

暗闇のそれも山の中に身を置くと、卓越した想像力の持ち主である我々二人には、突然笹薮の向こうから熊に襲撃される事しか考えられなくなってしまう。

その為、武器としての登山ポールの強度やリーチについて検討しながら歩みを進める事になる。

しかし、考えれば考える程、それもあまりに意味のない事だと悟り、うなだれてしまう。

そんな感じで、時折無駄に大きな咳払いや会話をしながら、どんどん登る。

天気はどうか?

快晴予報を信じているが、いまだに星空は見えず。

湿っぽい空気が辺りを覆っている。

雪は所々残っているのみ。

風はない。

そんなこんなで、あっという間に西島リフト駅に到着。

まずまず予定通りのタイムとの事。

5時半が日の出なので、30分前には山頂着としたい。

すぐ出発すれ何とかなりそうだ。

上着を脱いでザックへしまい、休憩されている先行の方々に挨拶をして先を急ぐ。

これより先行されている方はいないようで不安だが、朝日の為だ、仕方ない。

勇気を出して進む。

しかしリフト駅を離れてすぐにガスが出始める。

それは音もなくあっという間に辺り一面を覆いつくす。

何てことだ。

さらに風も出てきた。

寒い。

さっき上着を脱いだばかりだぞ?

4:50山頂着。

これまたまずまず予定通りとの事。

そして迎えてくれた絶景。

皆さんには見えただろうか?

朝日に輝く、誇らしげな1955mの剣山山頂標識が!

木道の先にはこれから進む、次郎岌への大パノラマ縦走路が!

・・・・・。

仕方ない。

自然が相手だ。

雨が降ってないだけマシだと思わなくてはならない。

逆に思いもよらない時に、スーパー絶景を披露してもらう事もある。

もう少し待ってみようという事で30分程待ってみたが晴れる様子はない。

第一歩くのをやめると、寒い。

山頂の温度計は10度だったが、もう少し寒く感じた。

なので、とりあえず先に進もうという事になった。

そのうち晴れてくるはず。

晴れなきゃおかしい。

6:00剣山頂発。

剣山山頂から約1時間で次郎岌山頂。

道中ガスが全く晴れなかったので写真は少ない。

山頂でも同じく。

おそらく360°の大パノラマのはずだが。

しかし、この頃から少しガスが薄くなってきたようで、時折太陽光線を感じるようになってきた。

あともう少し。

もう少しで、晴れてくるはずだ。

僕は気象庁を信じている。

しかし、ザックからカメラレンズを取り出している時、重大な事実に気づかされる。

確かついさっき大歩危のコンビニで買った昼食用のおにぎりが無い。

どこを探しても無い。

そして・・・

デポした車のカギも無い。

そりゃそうだ。

おにぎりと一緒の袋に入れているのだ。

どうやらTの車に忘れてきている。

なんてことだ・・・

このままでは、丸石まで縦走し、へとへとになりながら、二重かづら橋まで下山した後、延々と車道を8km見ノ越まで戻らなくてはならない。

プルプル震えてきちゃう。

これは寒さではない・・・

Tに伝えると、驚いてはいたが、まだまだ歩けると大喜びだ。

そう言いながら、これは人災だと念仏のように唱えていたのは聞こえなかったことにしよう。

とりあえず気を取り直して先へ進むことにする。

7:30次郎岌発。

次郎岌から下山していると、遂にガスが切れてきた。

 

全然分からないが、どこかの山が見えている。

ただ、それも一瞬。

瞬く間にガスに覆われ、しばらくするとまた一瞬顔を出す。

そんなことの繰り返しとなったが、天候が回復基調なのは間違いない。

どんどん下っていると、不意に背中から強烈な太陽光線を感じたので振り向く。

先ほどまで全く見えなかった次郎岌の姿。

笹原が逆光に輝いて美しい。

青空も覗いている。

ガスとの攻防は一進一退が続き、登山道も笹原と樹林帯を交互に繰り返しながら進む。

この辺りというか、今回のこの縦走ルート全般で見られたのが表皮が剝がされている樹木が結構目立つこと。

おそらく鹿によるものだと思うけれど、痛々しい樹が数多く見受けられた。

いよいよ天候も回復し、笹原の道を丸石まで向かう。

次郎岌からの道は多少のアップダウンはあるものの、快適そのもの。

しかし。

ここでトラブル発生。

ガスが晴れたので、辺りをキョロキョロしながら歩いていると、左足首をグリッと捻挫。

幸い、少し休むとピリッとした痛みは残っているが、大丈夫そう。

気を付けねばと、先へ進む。

8:55丸石に到着。

そして、歩いてきた縦走路を振り返る。

絶景。

画面中央左奥に剣山、右側が次郎岌、そして現在地(丸石)までの尾根伝いの笹原縦走路。

素晴らしい。

本当に来て良かった。

文句なしに、ここで大休憩。

山頂カップラーメン+あんパンで燃料補給。

そして、しばしのまったり撮影タイム。

改めて、次郎岌。

かっこいい山である。

剣山よりキリッとした山容で、下手したらこちらの方が存在感があるように感じる。

前回の三嶺からの眺望でも、「あっあれが次郎岌、そしたらその左奥が剣山やねっ」となってしまう。

それだけに、今朝剣山山頂付近でのガスが悔やまれる。

剣山からの次郎岌も大変に秀逸。

ネットや本で沢山出回っているが、実際この目で見たかった・・・

今回は心眼で焼き付けたのみ。

次回に期待である。

さて、十分休憩をとったので行動開始。

ここから稜線をさらに西へ丸石避難小屋まで行き、そこから二重かずら橋へ向けて下山する。

丸石山頂から避難小屋までは、これまでの笹原から一転、樹林帯歩きとなる。

稜線の北側にはブナ等の広葉樹林、南側はウラジロモミ等の針葉樹林帯。

見事に分かれている。

ブナの新緑はもう少しかかりそうだ。

そんな樹林帯の中に避難小屋はあった。

丸石から約30分ほど。

ここから二重かずら橋へ一気に下る道となる。

つづら折りの下りを嫌というほど繰り返す。

もしこれが植林帯なら飽き飽きしそうな感じだが、周りは素晴らしい自然林に取り囲まれている。

そして、またしても周りをキョロキョロしながら、さらに先ほど少し痛めた左足をかばいながら進んでいると、もう一度グリッと左足を捻挫。

勢いあまってスッテンころりんと転倒。

激痛に襲われる。

先ほどは何とか復帰できたけれど、さすがに2回も同じ個所を挫くとかなりキツイ。

少しでも体重をかけると激痛がはしる。

Tには申し訳なかったが、かなりのスローペースでの下山となってしまった。

途中痛み止めを飲みながら、何とか国体橋まで下山。

薬のおかげで痛みはだいぶマシになったが、なんと長く感じた事か。

しかし、まだここがゴールではない。

橋を渡り、丸石谷川に沿ったルートを行く。

川沿いに心地よい音色を聞きながら歩くのだが、この道が所々荒れていて歩きづらい。

なんの花だろう?

調べたが分からない・・・

写真をパチリパチリ撮りながら、永遠に続くかと思われた下山もようやく終了。

二重かずら橋へ到着。

本当ならこれでゴールな訳だが、なんと車のカギは見ノ越にあるのだ。

ここから車道歩き・・・

それも登りだ。

・・・・・。

っと思っていると、見ノ越までのバスがある事が判明。

それもあと20分少々で来るらしい。

良かった。

本当に良かった。

教えてくれた二重かずら橋の管理人さんが神様に見える。

そしてバスに揺られて、出発地の見ノ越へ戻った。

車道からは剣山と次郎岌。

山頂はすっかり晴れている。

あそこを歩いてきたんだと思うと、なんだか不思議な気分。

ほんの半日前の事だが、ずいぶん前のように感じる。

肝心の朝日撮影は残念だったが、それを差し引いてもいい山行だった。

多くの方のレビュー通り、この縦走ルートは素晴らしい。

今回の丸石までだと剣山~三嶺の約1/3の行程だが、なかには日帰りで三嶺まで踏破する猛者もいると聞く。

一度と言わず、二度三度と挑戦したいが、できれば泊りでゆっくり楽しみたいところだ。

T、今回もお疲れ。

色々迷惑かけたが、懲りずにまたよろピク~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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