森の旅 

To the world where you've never seen.

, …

三嶺〜天狗塚 特濃!!初めてのテント泊縦走

約13分


山歩き日 2019年5月3日〜4日

2019年5月1日。
平成から令和へと年号が変わった。
そのおかげで今年のGWは10連休。
仕事をすべて休む事は出来なかったのだが、それでも例年のGWと比べてゆっくりすることが出来た。
四国は前半天候があまり良くなかったが、5月に入ってからは連日晴天続き。
この機会を逃してはダメだ。
長年の課題となっている、山で星空を、そして朝日を撮影したい。
記念すべき令和初登山。
遂にテント泊に初挑戦する。
実はテントやシェラフなど装備自体は昨年の夏に購入していたのだが、未だに未使用状態。
購入時は一刻も早く使いたかったのだが、なかなかタイミングが合わず。
泣く泣く部屋の片隅で出番を待っていたのだ。
そして遂にゴングが鳴る。
5月3日~4日。
名峰三嶺~天狗塚への縦走。
新たな時代の幕開けに呼応するように私の山登りも新たなステージに突入する!
・・・はずだ!!

5月3日。
清々しい朝を迎える。
前日パッキングしたザックをジムニーに積み込む。
ずっしりとした重みに本当に歩けるか不安になる。
今回の同行者はいつものTだ。
まずは天狗塚登山口へ集合、1台デポした後三嶺名頃登山口へと向かう予定。
天狗塚登山口へ集合が8:00なので5:30過ぎに家を出る。
白んできた景色の中を進む。
窓から吹き込む風がひんやり気持ちいい。
途中コンビニで朝食のパンと歩行時の水分として500mlのペットボトルを3本、お菓子等の補助食糧を調達。
さらにザックが重たくなる(^^;
8時過ぎに到着。
Tを回収して、名頃登山口へ向かう。
8時半過ぎに名頃到着。
凄い車の台数。
駐車スペースがほとんどない。
さすがGWの威力は凄まじい。
何とか駐車し、準備を整える。

9:12 名頃登山口(905m)を出発。
このルートは徳島県側から三嶺に向かう場合のメインルート。
Tは訪れた事があるようだが、私は初めて。
自然林豊かないい感じのルートらしいのだが、標高差が1000m程あり荷物が重すぎて楽しめるかどうか心配だ。
とにかくゆっくり行こう。

のっけから芽吹いたばかりの明るいブナ混じりの森を登る。
ちなみに先行するTのザックにはブナの新緑に負けない程の素晴らしい色合いの黄緑色の円形物体が。
これは某有名ホームセンターブランドの簡易テントらしい。
真夏のビーチ等でよく見かける、袋から出すとボンっと開くあれだ。
彼はこれを五月上旬の2000m峰で夜を明かすために使用するらしい。
最低気温はおそらく零度付近になるだろう。
それをこの換気性抜群のテントで乗り切れるのか。
普通の人ならばまず無理だろうと判断するだろう。
しかし彼は違う。
挑戦する為に生まれてきたような男である。
あえて危険な人体実験に挑むつもりなのだ。
けっして昨晩酒の飲み過ぎで判断を誤っているわけではない。
ちなみに幕営先はお亀岩小屋を予定している。
無理ならまあ、小屋の中で寝ることもできるだろう。

感じのいい森の中を進む。

9:55 林道との出会い(1183m)に到着。
やはりザックが重くてかなり苦しい。
これは厳しい・・・

やがて稜線にでた。
吹き抜ける風が助けになる。
気持ちいい。

11:00 ダケモミの丘(1500m)へ到着。
一帯がウラジロモミに覆われている。
ここで小休憩。
重いザックを下ろす。
大げさかもだけど体がフワッと浮かぶような感覚。
皆さんアルプスなんかで2泊、3泊するけど本当に強いなぁ・・・

ぬた場のような場所を通過。

photo by T

やがて石と笹混じりの急登区間に突入。
ゾンビのようにフラフラ&超牛歩戦術で一歩一歩進む。

やがて一面笹原が迎えてくれた。
頂上はもうすぐ。
しかし妙に天候が悪化してきているような・・・
それでも何度来ても感動する笹原。

12:39 池に到着。
良かった、北側には青空が残っている。

photo by T

座り込む私。
本当に疲れました。
何より肩が痛い。
とりあえず頂上は後回し、避難小屋で昼飯にする。
少しでも積んでいる調理用水分を消費して軽くしたい...

いつ食べても本当にうまいですね、カップヌードルシーフード。

昼飯を済ませ、出発。
10分ぐらいで頂上だ。

振り返って。
三嶺定番の構図。
南側が切り立っているので空中浮遊感が半端ない。
素晴らしい。
しかし。
ますます悪化しているような気がするこの天候はなぜ・・・

13:45 多くの人で賑わう三嶺頂上(1893m)到着。
私にとっては3度目かな。
頂上ではドローンを飛ばす人もいた。
いい画が撮れるんだろうな。
初めて山でドローンに遭遇した時は蜂かなにかの大群に取り囲まれた!!っと焦ったのを思い出す(^^;

これから向かう天狗塚方面への稜線。
ここからは初めて歩くルートだ。

そのアップ。
手前のピークが西熊山、そこからコルを挟んで奥のピークが地蔵の頭、天狗峠。
その奥にピョコっと鋭く三角錐の頭を見せているのが天狗塚だ。
ちなみに宿泊予定のお亀岩小屋は西熊~天狗峠のコルから少し下った所にあるらしい。

東方面。
三嶺南斜面と剣山への縦走路。
このGW中、かなりの方が歩かれたのではないかな?

遥か彼方の剣山、次郎岌。

14:00 撮影&休憩を挟んで三嶺頂上を出発。
すぐに光石への分岐。
3度目の三嶺だが高知県側、光石からのルートはまだ未経験。
いずれ歩いてみたい。

テキサスゲートを渡る。

崩落地上部を通過する。
この崩落は2004年の台風による大雨で発生したらしい。
15年経っても裸地のままだ。

この角度からの三嶺は初めてなので、ついつい何度も振り返ってしまう。
素晴らしい縦走路。

いい。
いいのです。

先へ進む。
笹原の一番高いピークが西熊山。
その手前のコルが大タオ。

14:45 大タオに到着。
目の前には西熊山。
でっかいのう〜。
重荷の為いよいよ肩が限界。
肩掛けしているカメラもいかんね。
次回までに何か対策を考えなくては。
タケコプターをザックに縫い付けたい妄想に襲われながら、いつもの牛歩戦術で一歩一歩登る。

またしても振り返ると丁度三嶺に太陽光が。
この天候では本日の太陽は見納めかな・・・

15:15 西熊山頂上に到着。
西に目をやると、中央に天狗塚の先っぽがこっそり顔を出している。
足元には目指すお亀岩小屋の赤い屋根が見える。

しつこいけどもう一度三嶺。
あそこから歩いてきたのだ。
頂上で撮影を楽しんでいると、ポツリポツリ。
なんと!
雨が来た。
予想より早い(・_・;

急いで小屋を目指す。
なんか遠くの方で雷鳴も聞こえるような・・・

稜線上の分岐に到着。
そそくさと小屋へ降りる。
雨脚は徐々に強くなってきている。
テント張れるか心配だ。
初のテント泊が雨になるとは(・_・;

小屋の赤い屋根が真下に見える。
先着でテントを張っている人もいるようだ。

16:00 お亀岩小屋に到着。
到着と同時に雨がいよいよ本降りになった。
一瞬テントは諦めて小屋泊まりにしようかとも思ったが、中は結構混雑しているようだし雨もすぐ上がるかもしれないので予定通り小屋のそばにテントを張ることにする。

テラノバのレーサーコンペティション1。
非自立のダブルウォールテント。
初めてのテントにしてはマニアックな物を選んだ感があるが、他に検討していたエアライズやステラリッジなんかよりも軽量(0.97kg)だし、インナーとフライシートを前もってセットしておけば現場でガバッと立ち上げることができる。
実際今回も雨に濡れながらの設営となったけど中を濡らさずに立ち上げることができた。

黄色いテントが噂のTの家。
これもワンタッチで開くので雨に濡れずに設営できた様子。
ただ浸水が心配・・・
設営後、雨はさらに激しくなり一旦小屋に避難する。
雷鳴もどんどん大きくなってきている。
そしてなんと・・・!!

ついには雨から雹に変化!!!
粒はそんなに大きくないが、ちゃんとした雹だ(^_^;)
小屋の中にいた人たちも出てきて盛り上がっている。
しかし裏に設営したテントは大丈夫だろうか・・・
雷もかなり近く、Tに至っては目の前で横に走る稲妻を見たという。
とりあえず落ち着くまで小屋に避難だ。

やがて雹は弱まってきたが、相変わらず雨は降り続いている。
到着時とは見違えてしまった景色。
雪のように見えるが、全て小さな氷の塊だ。

雷が遠のいた所でようやく夕食準備。
今回はペペロンチーノパスタ。
もう少し色々積んできたかったのだが、重量とザックのスペース的にも簡単なものだけになってしまった。
パッキング上手くなったらもう少し積めるとは思うけど。

photo by T

やがて雨もほぼ止んだ。
しかしTのテントの内部は案の定浸水。
泣く泣く小屋泊へ変更だ。
私のテントは大丈夫そうなので予定通りテントで寝ることにする。

夕飯も食べ終わり、まったりしていると天候も随分回復してきた。
そろそろ日没の時間。
ほんのり稜線上の空が赤くなってきている。
夕焼けが見られるだろうか?
とりあえずダメもとでカメラを持って稜線まで駆け上がる。

晴れてる!
上がってみると薄紫に彩られた、ダイナミックな空が迎えてくれた。
最高。
風は強いし、雨もまだパラついているが夢中で撮り続ける。

西熊山方面。

クマ笹とコメツツジ。
この二つの群落が、三嶺〜天狗塚の特徴だ。

やがて太陽は完全に沈んで、夜の帳が下り始める。

手前の雲が勢力を増してしまって、真っ赤に染まることはなかった。
少し残念。

さて小屋に戻ろう。
撮影を終えた途端に寒さを感じてしまう。
小屋に戻ってからはまったりタイム。
中ではストーブが焚かれていたので、いろんな人の山話を聞いたりしながら体を温める。
さすがGW。
奈良や広島など四国外からの方もいた。
皆本当に山が好きな様子・・・
19:00過ぎにTを小屋に残してテントへ戻る。
初めてのテント泊、いまいち寝る時の温度感のイメージが湧かない。
なので色々試せるように余計なウェアを持ってきているのだが、とりあえず着の身着のままで寝てみる。
外気は山小屋の温度計では6度だった。
正確な温度かどうかは謎だ。
体感ではもう少し寒く感じる。
ちなみにマットが定番、サーマレストのリッジレストソーライト。
シェラフはモンベルのアルパインダウンハガー800#3。
普通のダウンハガーではなく、アルパイン付きのほう。
コンフォート5度、リミット0度。
ウェアはモンベルの化繊半袖T、ユニクロの半袖シャツ、パタゴニアのナノエア。
潜り込んだ直後は大丈夫そうだと思ったが、1時間ぐらいでなんだか少し寒くなってきた。
追加でユニクロのウルトラライトダウンベストを中へ着る。
何かユニクロばっかり^^;
残されたのは薄手のソフトシェルが一枚とレインジャケット。
それとダウンシェラフのブースト用としてソルのエスケープビビィ。
明け方はもっと温度下がるだろうし大丈夫か??
しかしそれも杞憂に終わる。
ダウンベストを追加するだけでヌクヌク。
やるなユニクロ。
雨の後なので湿気があるのが少し嫌な感じだったが、十分寝られる暖かさになった。
風にばたつくテントの音を聞きながら寝る。
寝られるか心配だったが、しっかり気絶する。
真夜中ふと目が覚めてテントから空を覗くと星が見える!
晴れてる!!
眠気などすぐに吹っ飛んで、カメラと三脚をセットし出陣。
再度稜線まで登る。
そして人生初の天の川撮影に成功。
感動だ。
本当に感動した。
こんなに写るの??
こんなに見えるの??

そして思う事。
もっと広角レンズが欲しい~~!!
今回の写真はニコンの純正24mmF1.4で撮っているのだが、天の川の巨大さを目の前にしてしまえば圧倒的に画角が足りない。
普通に登山写真を撮るのには不足を感じたことはなかったのだけど・・・
ニコンの伝説的な銘玉、14-28mmf2.8が必要なのか・・・

そして奇跡の一枚が。
西熊山方面を撮った写真に写り込む流星。
ちょうどこの日はみずがめ座η流星群の極大3日前。
撮影中も何本も流星を見ることができたのだが、まさか写っているとは。
素直に嬉しい(*´ω`)
星空撮影に夢中になりすぎて、気づけば3:00を過ぎている。
Tとは3:00起床、テントを撤収して3:30には出発の約束だった。
急いで小屋に戻り、テントをたたむ。
けど星空撮影の感動的な余韻が抜けない。
本当に来てよかった。
4:00 頃予定より少し遅れて小屋を出発。
予定では天狗峠付近で三嶺と朝日を絡めた画を撮る予定。
日の出は5時15分ごろ。
急がなくてはならない。

徐々に白んできた空を背中に感じながら先を急ぐ。
笹原をズバババッと進むかと思いきや、一部急登の樹林帯に入ったりでそこまで素早くは進めない。
やがて見晴らしのいいポイントに到着。
予定ポイントの手前だがここでご来光を待つことに。
画面中心の奥の尖がった山が三嶺。
その右奥に剣山、次郎岌が見える。

拡大。
三嶺頂上に人の姿が見える。
三嶺小屋でも多くの人が泊まったんだろう。

5:30 そしてついに太陽が姿を現した。
それも三嶺頂上からだ。
ダイヤモンド富士ならぬ、ダイヤモンド三嶺。
めでたい!
奇跡の一枚!
厳密にいうとちょっと右にずれている気はするのだが(^^;)

山を越えて光が一斉に差し込んできた。
ゴーストが凄いが気にしない、気にしない(^^;)
手前が崖状にストンと落ちていてなかなか撮影しやすいポイントだった。

ご来光を迎えた後は天狗塚へと向かう。

それにしても素晴らしい天候となった。
雲一つない。
黄金色に輝くクマ笹。
朝の、何回も深呼吸したくなるような、この空気感が大好きだ。

5:57 綱付森への分岐点へ到着。

6:05 すぐに林道登山口からの合流分岐地点に到着。
ここが天狗峠。
目の前に天狗塚。
以前訪れた時はこの地点で撤退している。
今回はここでザックをデポして空荷で向かう。

いよいよ念願の天狗塚頂上へ。
楽しみ楽しみ。

途中の岩場から。
恒例の詐欺写真撮影大会が開催されたのだが、今回はなかなか迫力ある写真は撮れない。

いよいよ基部まできた。
急登がスタートする。

6:33 遂に天狗塚(1812m)頂上へ到着。
頂上はそんなに広くない。
見渡す限り360度の大展望が広がっている。

天狗塚から更に西へ伸びる稜線、牛の背。
時間があれば歩いてみたいところ。
見えないけど池なんかもあるらしい。
本当か?
今回は時間無しのためパス。

天狗塚から真南に位置する綱付森。
この山もぜひ登ってみたい山の一つ。

天狗塚南斜面。
縦横無尽に走る獣道。
白骨林も目立つ。
今回鹿の目撃は朝日撮影の時に1頭見えたのみ。
素早すぎて撮影は出来なかったが。
けどこの界隈は本当に鹿の被害が深刻な地域。
ぜひこの素晴らしい環境をいつまでも見ていたいのだが・・・

7:00 デポ地点まで戻って来た。
少し休憩していよいよ下山を開始する。
北側眼前にはクッキリと寒峰、矢筈山などの名峰がずらり。

これにて天狗塚、そして素晴らしい三嶺への稜線も見納め。
また絶対来ます。

樹林帯へ突入する。

ブナやモミ、ダケカンバなどが混在するいい雰囲気の森。
もう少しすると緑も濃くなって、鬱蒼とした感じになる。

古木の足元には幾千の芽吹きが。
春ですな。

8:27 下山完了。
こうして初めてのテント泊登山は無事終了した。
あっという間の1日半だった。
名頃〜三嶺〜西熊〜天狗塚ルートは予想通り素晴らしいルート。
今回は一泊したが、日帰りも可能な距離。
皆さんもぜひ行ってみてほしい。
しかし星空撮影。
どうやらハマりそうだ。
まだまだ撮り方に改善の余地はありそうだし、いろんな場所で撮りたい衝動に駆られている^^;
レンズも欲しくなりそう。
装備軽量化を目ざしている筈なのに・・・だ。
まあまだパッキングの仕方もヘボいし、その他の装備も改善の余地あり。
世の中にはいろんなウェアやギアがあるわけだから、じっくり自分なりの形に変えていけたら。
そんな事を考えるのも山登りの楽しみだ。

名頃に到着。
登山靴を脱ぎ、サンダルに履き替える。
ホットするこの瞬間が好きだ。
駐車場は相変わらず大変混んでいる。
なんか雰囲気良かったのでジムニーを激写^^;
それではのんびり帰るかな。
Tお疲れ〜。




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