森の旅 

To the world where you've never seen.

プロメテウス火山 危険に満ちた隠れ名山を行く

約5分


登山を趣味としていると、本当に色んな山に登りたくなるものだ。
登れど登れど次から次へ行ってみたい山は出てきてしまう。
本当に果てがない。
色んな山があり、そして訪れた数だけ素晴らしい山旅がある。
今回の山旅は完全にノーマークだった、まさかのエリア。
ワタクシ的には今まで考えもしなかった所に、日本が誇る名山が隠されていたのだ。
その偉大な山とは?
スリルと謎に満ち満ちたhotで危険な山旅が今スタートだ。

その名山の名前は【プロメテウス火山】という。
標高51m。
思いの外高くはないが、油断してはならない。
この山は今でも定期的に炎と噴煙を吹き上げる、超活火山なのだ。
場所は千葉県浦安市。
まさかこのような場所に活火山があったとは。
灯台下暗しとはこの事だ。
しかも現場はこの山を極めたいという登山者で溢れかえっているという。
全くのノーマーク。
今までいろんな方のブログやSNS、ガイドブックを参考に山を選んでいたが、ただの一度もその記録を見た事がない。
一体どんな山なのだ。
謎に満ちている。
不安と緊張が入り混じりながらベースキャンプの街へ向かう。

ここは本当に日本なのだろうか?
まるで中世ヨーロッパのような街並み。
しかし、ここは紛れもなく、日本の千葉県である。
その奥に目指す山は見えている。
シュッとした山容で、どことなく富士山に似ている。
頂上にはぽっかり穴が空いており、時折噴煙を吐き出しているらしい。
しかし、現在は小康状態のようでその煙は見えない。
情報によると、この山を目指す登山者は数多く、すでに長蛇の列をなしているとの事。

登山口へ向かう内にすっかり周りは暗くなってしまった。
道中には英字で看板が。
方角は間違っていないと思われる。
この辺りから長蛇の列。
薄暗い中をのろのろと先へ進む。
約1時間後ようやく登山口へ到着。

登山口には監視&誘導員が待ち構えており、2列で隊列を組み進むように指示される。
ポケットや帽子など、しっかり飛ばされないように注意も受ける。
そんなに危険な山なのか。
さらにカメラ撮影は一切禁止だという。
せっかくブログ用に写真を撮りたかったが仕方ない。
ルールは守らなければならない。

準備が整うと、隊列はゆっくり出発。
もちろん前列も後列も初めて顔を合わす山仲間達だ。
今回の山旅の運命共同体と思えば、自ずと親近感が湧いてくる。
最初は比較的緩やかな道を行く。
見た事もない生物や、時折マグマが噴出している横を通過したりと平坦な割になかなかハードなコース。
ただし、まだまだ薄暗い中出発したので、見通しは聞かない。
まるで地下にいるような気分だ。

やがて道は登り始める。
と、同時に隊列が急にスピードアップ。
登り始めた途端にスピードアップとは一体先頭はどんな人だろうか。
かなりの健脚、それも超ドSに違いない。
完全にクライマーズ・ハイに陥っていると思われる。
後続の我々はついて行くのがやっとである。
しかし、誰一人遅れをとったり、隊列を乱したりする者はいない。
まるで皆しっかり車両に乗せられているようだ。

いよいよ隊列のスピードはMAXに。
登り一直線の道の先に明るい光が見える。
あそこが頂上か。
タイミングよくご来光となるようだ。
息も絶え絶え登り切った瞬間!

!!!!!!

!!!!!!

!!!!!!

!!!!!!

!!!!!!

一気に急降下!
息ができない。
体が宙に浮いた感覚だ。
風もすごい。
これほどの暴風は未だかつて経験がない。
目を開ける事ができない。
これはどうした事だ!
我々は滑落したのか!

どれほど長い間恐怖の急降下は続いただろうか。
永遠に続くと思われたが、案外一瞬だったような気もする。
隊列はやがて静かに下山口へ到着した。
どうやら滑落などではなく、正規のルートだったようだ。
なんて事だ、頂上で展望を楽しむ時間も、ランチする時間も与えられなかった。
ただただ登り、そして下るのみ。
登山という行為をストイックに体感する山だった。
激闘を終えた戦友が笑い合っている。
ストレスとプレッシャーから解放され、恐怖の活火山が慈愛に満ちた母なる山のように感じる。

下山後、周辺の街を散策。

麓の町々には登山者で溢れかえっている。
穏やかな冬晴れの中、皆楽しそうだ。
山旅の魅力は何も山登りだけではない。
その前後の時間をいかに楽しめるかもいい山旅にする秘訣だと思う。



いやぁ、今回もなかなか充実した山旅となった。
プロメテウス火山は噂通り、非常に危険で厳しい山だった。
ただし、親切かつ完全にガイドされるので遭難の危険はない。
身長制限などがあるが、基本健康な方なら誰でも登る事ができる。
勇気がある方はぜひ挑戦して頂きたい。

ちなみに行きがけに見えた【本物】の名山😊

こちらもいずれは登らなくてはならない。




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