森の旅 

To the world where you've never seen.

石鎚山 霧雨に包まれた神の山

約10分


今回の山歩きは石鎚山。

いよいよというか、ようやくというか。

今まで数回の計画断念を乗り越えて、遂に初挑戦である。

石鎚山と言えば、標高1982mを誇る西日本一の高峰。

愛媛県西条市と久万高原町の境に位置し、笹ヶ峰、寒風山、伊予富士、瓶ヶ森、二ノ森など名峰が連立する石鎚山系の盟主。

日本百名山にも名を連ね、また古くから山岳信仰の盛んな歴史の山で、日本七霊山の一つでもある。

四国に住んでいる人にとっては、登山に興味がない人でも名前くらいは知っていると思う。

石鎚山へのルートは大まかに分けて3ルートある。

西ノ川からロープウェイを利用する、表参道コース。

方角でいうと北側から登る事になる。

名前が表すように、霊峰石鎚にとってはメインルートである。

次に東側、土小屋からのルート。

一番標高差が無く、最短距離で登れるルート。

ブナ天然林、そして北壁直下の高山植物の花畑が見事だという。

最後に南の面河渓から登る裏参道コース。

標高差1300m超、往復約20kmとなかなかのハードコース。

面河渓の景観を楽しみながら、豊かな原生林の中を歩く。

一番気になるのはこのルートだが、今回はパス。

とりあえず石鎚は初挑戦という事で、表参道コースを行く事とした。

今回も同行はいつものT。

8:30 山麓下谷駅を出発。

8:40 ロープウェーに乗る。

見ての通り、ロープウェーからの絶景は分厚いガスで覆われている。

時折弱い雨音も聞こえてくる。

だが、心配する必要はない、想定内だ。

天気予報は朝方まで雨、10時以降から回復傾向。

我々の日頃の行いの良さもプラスに働き、山頂では素晴らしい景観が待ち構えているという手筈である。

しかし、こんな天候の為か、日曜日だというのに登山客はずいぶん少ないみたい。

ロープウェイで同乗になったのも、大きな野菜の段ボールを持った男性2名のみ。

明らかに登山客ではない。

ロープウェイは音もなく、スルスルと標高差約800mを8分程で昇りつめる。

あっという間に標高1270m、山頂成就駅に到着だ。

9:00 駅を出発。

まずは神社や旅館、休憩処がある成就を目指す。

成就までは緩い登りの遊歩道といった感じの道である。

9:25 成就到着。

大きな鳥居越しに目指す頂上が見えている。

天候が良ければずいぶん賑わっているところなんだろうけど、今日は登山客の姿がポツリポツリ見えているぐらいで、辺りは閑散としている。

しいんと静まり返った感じが、より一層霊峰石鎚を意識させる。

ここで雨音が少し強くなった。

少し雨宿りも考えたが、そのうち止むだろうという事でそのまま進むことに。

参拝をして、神門をくぐり、いよいよ本格的に登山開始だ。

開始早々、ここから八丁鞍部に向けて一旦下る。

辺りはブナの大木が点在する、豊かな森だ。

雨音は先ほどより更に大きくなってきているが、木々の葉がクッションとなって、その音の割には落ちてこない。

霧に包まれた森が神々しい。

見とれてしまう。

何度も撮影の為立ち止まる。

しかし、いよいよ雨も強くなってきたので、八丁手前、遥拝の鳥居でレインコートを着る。

ここからも鳥居越しに頂上を拝めるらしいのだが、ガスに包まれ全く見えない。

その間に何組かの登山客が通過して行く。

うーむ、そろそろ約束の10時だが、雨が止む気配はない。

八丁鞍部を通過すると、いよいよ登りだ。

階段、そして、階段。

次から次へと現れる階段地獄で一気に高度を稼ぐ。

ここまで階段が続く登山道は初めての体験だが、キツイのですね、階段って。

ゼィゼィハァハァ言いながら、10:55 試しの鎖へ到着。

石鎚山には鎖場が計4か所ある。

その最初の鎖場が、ここ試しの鎖だ。

登り48m、下り19m、写真のように岩壁に鎖が掛けられている。

更に先には一の鎖(33m)、二の鎖(65m)、三の鎖(68m)とある。

もちろんそれぞれ迂回路があるので、鎖場を全スルーする事は可能だ。

下から見上げると、なかなかハードな感じ。

雨に濡れた岩肌が厳しそうだ。

もちろん、巻きます(^^;

少し行くと鎖場からの道と合流し、青いトタンの休憩小屋に到着。

今回はそのまま通過、夜明峠を目指し階段を登り続ける。

11:30 夜明峠到着。

本来ならここから石鎚山の全容が望めるらしいのだが・・・

もちろんガスに包まれて何も見えない。

約束の10:00はとっくに過ぎている。

何時になったら晴れてくるんだ?

少し休憩し、先へ進む。

一の鎖も巻いて二の鎖の休憩小屋へ到着。

相変わらずガスに包まれてはいるが、雨は止んだのでレインコートは脱いだ。

まだまだ綺麗な小屋から少し登った所に鳥居があり、二の鎖の開始地点となっている。

とりあえず、様子を見てみる。

写真ではTがバリバリ登っているように見えるが、もちろんガセである。

私がわざわざ下から、いかにも登攀しているように見える角度を伝えて撮影を行っている。

高所恐怖症の我々が、雨露に濡れた岩肌に取り付くわけがないのである。

一通り撮影を終えると、Tは素早く降りてきて執拗に上手く撮れたかを確認したのち、何事もない顔で巻道を進む。

なんて奴だ。

まあ、しかし登山を嗜むものとして、いずれちゃんと挑戦せねばなるまい。

そのうち・・・だ。

先を急ごう。

まだまだ続く階段を登って登って登り切って・・・

もちろん三の鎖もクールにおすまし顔で巻きながら、遂に。

12:30 弥山頂上に到着。

しかし、深い深いガスに閉ざされ何も見えない。

ここからは雄大な天狗岳が見えている筈なのだが。

確かに雨は上がったが、とても10時から回復しますって天候ではないぞ、チクショウ。

日頃の行いはどうなった??

どちらが悪いのだ??

自問自答しても答えは出ない。

仕方ないので筋肉質なレッグに見とれてしまった男の邪な心に対する石鎚の神様の罰だと思うようにする。

しばらく粘ってみるも、天狗岳が姿を現すことはないのでとりあえず休憩、ランチタイムとする。

食べている内に晴れてくれる事を期待しよう。

今日は山荘で食べてみる。

やはりアウトドアと言えばカレーです。

美味しい。

食べる物をグレードアップするとギュッと山旅感が出てくる。

いつものおにぎりだけでも十分だと思っていたけど。

ブログなどで皆さんがおいしそうなランチを調理している姿に密かに憧れております。

さあ、ゆっくりカレーを楽しんだ。

もう一度天狗岳を覗いてみる。

おおッ!!

一瞬。

ガスの切れ目から天狗岳が姿を現した。

めちゃくちゃカッコイイ。

なんでもそうだ、尖った物はカッコイイとだいたい相場が決まっている。

天狗岳まで行くかは随分悩んだが、ガスが一瞬でも晴れる事を期待して行ってみる事になった。

ザックをデポして、13:20出発。

天狗岳へは写真でも分かるように、かなりの細尾根を進むことになる。

北側はスッパリ切れ落ちているので、もちろん落ちたらジエンドである。

下調べではかなり怖そうだったが、今日はガスが高度感を麻痺させてくれていた為か、それ程でもなくすんなり登頂。

13:40天狗岳頂上着。

相変わらずガスに包まれてはいるが、時折ガスが切れる。

更に先には南尖鋒。

振り向けば、弥山。

石鎚山には三角点はなく、弥山、天狗岳、南尖鋒などを総称して石鎚山と呼んでいる。

とりあえずガスが切れた時間はわずかだったが、それでもそれぞれの頂上が見れただけでラッキーだった。

私の日頃の行いが本領を発揮させたのかもしれない。

頂上付近で約10分間滞在したのち、帰路に就く。

弥山に戻ると、ザックを整理して、下山開始。

14:10 弥山を出発する。

帰りはザクザク。

イヤという程登った階段を、今度はイヤという程下る。

下って下って下る。

天候は相変わらずパッとせず、高度が下がってくると雨も降ったり止んだりを繰り返す感じとなってきた。

行きよりも更に視界は悪くなっているようだ。

ほとんど休憩も取らずひたすら下山する。

写真の数もかなり減ってしまった。

たまに撮ったかと思えば、見返してみると登りの時に撮った場所だったりする。

撮影以外はただひたすら、修行者のように、無言で下る。

15:00 青のトタン小屋を通過。

八丁鞍部を通過し、成就手前の素晴らしい森を登り返す。

15:50 ガスに包まれた成就に到着。

【photo by T】

無事戻れた事のお礼をして、ロープウェイ駅へ向かう。

途中駅の方から放送が聞こえてきて、ロープウェイ最終便が16:30発と知らされる。

えっ!?

焦ってダッシュ。

確かTの調べによると18:00頃まで営業中と聞いていたが・・・

疲労困憊の体に鞭を打って16:15、なんとか山頂成就駅へ到着。

ふぅ、間に合った。

16:30発の最終便で無事下山完了。

最後はドタバタになってしまったが、やはりそこは名峰石鎚山。

十分満足できる山旅となった。

幻想的で静寂な雰囲気も味わう事ができたし、悪い天候なりになんとか天狗岳も拝めたうえに、頂上へ登ることもできた。

いい山旅でした。

ちなみに家に帰り付く頃・・・Tより

【photo by T】

運転時間を示した、こんな看板ちゃんとありました。

これに気づかなかったとは・・・

とメールが入っていたが・・・

安心してほしい。

自分は今でもこんな看板目にした記憶は蘇ってこない。

用心せねば!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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