森の旅 

To the world where you've never seen.

紫雲出山 子どもと行く、海の見える里山ハイク 

約7分


山歩き日 2019年7月7日

暑い。
毎日、本当に、暑い。
夏だから暑いのは当たり前なのだが、近年の真夏の高温は何かおかしい。
なんか、こう、ひどく人工的な感じの暑さ。
異常だ。
20年くらい前とは全く違う。
当時、いくら暑くてもここまで辛く感じることはなかった。
全身から溢れ出る透明の粒は夏空に弾けるようにキラキラ輝いていたし、それはまるで三ツ矢サイダーが体から噴出しているような爽やかさであった。
当時の汗は、青春の1ページを彩る媒体としての重要な役割を負っていたのだ。
だから暑さなんて気にならない。
いや、暑ければ暑いほど燃えたものだ。

だがどうだ。
最近の汗ときたら。
切実に体温調節としての役割を果たしているだけとしか思えない。
肉体を守る為に、無理矢理絞り出されているだけだ。
その仕事に追われて、今の汗にその他の仕事をこなす余裕はない。
なんか臭いし。
・・・
・・・
・・・
ムムム。
脱線してしまった。
つまりは私がおっさんになっただけなのだろう。
時の流れとは、本当に、残酷である。

さてPCが故障してしまってなかなか更新できなかった、山旅の記録。
ようやく更新できます。
七月に行った香川県の名山、紫雲出山の巻。
始まり始まり〜。

紫雲出山(352m)といえば、桜である。
春になると、いろんなメディアで大きく報道される、四国を代表する桜名所だ。
穏やかな瀬戸内海の夕暮れと桜のコラボ写真はネット上にこれでもかと言わんばかりに溢れている。
なので写真の趣味を始めた頃からなんとなく名前は知っていたのだが、なぜか足は向かなかった。
山頂には展望台もあり、車で行けるらしい。
この山にもいい感じの登山道があると香川在住のTが言う。
今回の山旅には私のかわいいかわいい子ども達が(ほぼ強制的に、それもイヤイヤ)参加するので、安全で、見晴らしが良く、歩行時間も短めなやつが希望だ。
安全なのは言わずもがな、遭難の危険性があるようなルートは論外。
それと見晴らしの良さ。
登山の醍醐味は見晴らしの良さだけではないけれど、登山に対して良いイメージが全くない彼らの注意を引くには、見晴らしの良さは一つの武器になる、はずである。
歩行時間も短めがいい。
途中で嫌になって本当に撤退なんかになれば二度と一緒に山登りなぞに来てくれないだろう。
ただし、簡単過ぎてもダメな気がする。
ある程度苦労した暁に、頂上で迎える絶景と、お菓子とアイス。
これで完璧なはずだ。
私の突然の、様々なリクエストへのTの返答が紫雲出山だったのだ。

登山口は箱峠から。
仁尾から荘内半島南岸海沿いを、右手に紫雲出山を見ながら西へ進み、詫間町箱へ抜ける山間の峠に登山口はある。
つまり西から東に向かって山頂を目指す事になる。

13:00 登山口発。
またまたTが変な格好をしている。
なぜか段ボールを背負っての参加だ。
彼は羞恥心というものを今までの人生の、いずれかの場所に起き忘れてきたようだ。
だが文句は言えない。
あの段ボールの中には彼が私の子供たちの為に買ってくれたアイスやらお菓子やらが入っている。
さらに2段段ボールの下段には秘密兵器も収納されていたのだ。
それが判明するのはまた後の事。

まずは樹林帯の中を行く。
夏の登山ということで熱中症を心配して水分はかなり持ってきているのだが、樹林帯の中は案外涼しい。
時折吹き抜けていく風が気持ちいい。
日よけも立派な森の持つ力のひとつだ。

黄緑色の若葉がきれい。

徐々に登山道らしくなってくる。
先の見えない階段地獄登場。
子供たちにペース配分なんて考えはない。
2段飛ばしとかしながら、駆け足で登って行ったと思ったら、へたり込んだりしている。
けどなんだかんだでしっかり登っていく。

13:21 標識登場。
ほぼ1/3進んだようだ。
悪くないペース。

ベンチがあったので小休止。
木陰に守られているとは言え、流石に全員汗だく。
ポカリが美味しい。

木漏れ日の素晴らしい道を先へ進む。
段ボールも見慣れてくると全く違和感がない。

しかし徐々に疲れてきたようだ。
頂上はまだか、もう引き返そう、ここを頂上にしようとか色々言いだした^^;
もう少し、もう少しと言いながら先へ進む。

しかし、本当に趣きのある、いいルートだ。
低山の雑木林、それも夏場といえばもっとジトジトした、暗ーい、まるで私の青春時代のようなイメージがあったのだが。
・・・
・・・
・・・
おっと、冒頭のエピソードと整合しない。
どちらが本当かは想像にお任せする。

二人ともかなりお疲れの様子。
休憩を頻繁にとりながらゆっくり向かう。
頑張りなされ、もう少しで素晴らしい絶景が待っているぞ。

やがて石畳の遊歩道が現れた。
前方には展望台が見える。

ここで遂にTの段ボールが開帳される。
中から現れたのはドローン。
それも4K撮影もできるという、立派なやつだ。
遂に我々の山旅も新たなステージに突入したのだ。
すごく楽しみだ。

スタンバイ完了のドローン。
いざテイクオフだ。
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・?
一向に飛ばない。
いや飛ぶには飛んだのだが。

なんとSDカードを自宅に忘れてきていて撮影を保存できないらしい。

ノオォォォォ!!

なんてことだ。
彼は羞恥心以外にも、色々と置き忘れてきたものがあるようだ。

14:20 気を取り直して、頂上展望台より。
遂に到着。
最高の景色。
手前の木々が全て桜なのだろう、満開の時の素晴らしさが容易に想像できる。

青空とどこまでも続く青い瀬戸内海。
来てよかった。
と、子どもたちも感じているはず・・・
だが。
彼らはTの差し出したアイスとお菓子に夢中。
まったく景色などを楽しむ余裕はない。
というか興味すらない様子。

たっぷり休憩を取った後、頂上付近を探索。
展望台のほかに、小さなカフェがあったが今回はスルー。
そしてたまたま満開となっていたアジサイ。
多くの人で賑わっている。

知らなかったが紫雲出山はアジサイの名所でもあるらしい。
ほんとにグッドタイミング。
満開のアジサイ小路を散策。

カブトムシ探索中。
残念ながら居なかった。

15:21 しばらく頂上付近でウロウロしてから下山開始。

下りはかなりのハイペースで進む。
しばらくして上の子の足がプルプルなってきていたが、彼はそれを楽しんでいるようだ。
時折立ち止まって勝手に小刻みに震える自分の足を見て爆笑している。

上りはあんなに苦労した階段地獄もあっという間。

15:55 登山口に到着。
上りでは1時間20分ほどかかったコースを下りでは35分で走破。
ほぼ休憩なしで駆け下りた感じだ。
本当によく頑張りました。

今回初めての紫雲出山だったが、感じたのは初心者や小さな子ども連れ登山には丁度いいコースだという事。
標識は各ポイントごとにちゃんと準備されているし、登山道もしっかり整備されている。
崖の際を通過するような危険な場所もなく、安全に登ることが出来る。
上りのコースタイムも約1時間強で長すぎず、短すぎずのいい塩梅。
ここがポイントで、例えば15分ぐらいで着いてしまうような、あまり簡単すぎるルートでもダメな気がする。
登りきった達成感獲得にはある一定の苦労も必要だろう。
別に登山をそんなにまだ知らない、もしくは好きでもない人がしんどいしんどい言いながら登るのに耐えれるのは1時間ぐらいが限度やないかな?
自然林の密度も丁度よく、照葉樹林帯のようにダークすぎることもなく、程よい深さ。
頂上には水洗トイレもしっかり整備されているし、おしゃれなカフェもある。
展望台からの瀬戸内海を一望できる眺めは格別だ。
もちろん人工物が何もない、本当の大自然の中の山を登りたいという人には向かないかもしれない。
でも逆を返せば、街が近い分いつでも引き返せるのは大きな魅力。
ふっと思いついて、すぐ計画できる。
かと言って中級〜上級者が楽しめない訳ではない。
今回のコースを利用し、仁尾の方から荘内半島先端までの大縦走ルートも存在するようだ。

次回は桜の季節かな。
また挑戦してみたい。





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