森の旅 

To the world where you've never seen.

石鎚山 季節外れの霧氷にズームイン

約7分


山歩き日 2018年5月4日

早朝の極寒岩黒山ピストンで消耗してしまった我々。
ぬくぬくの車内にて半分くじけそうになりながらもようやく重い腰を上げる。
せっかくのGW、せっかくここまで来たのだから行かなくては。
天候も大分回復したので、8:20 土小屋登山口(1495m)を出発。

いきなりウラジロモミの林の中を通過する。
うーん、贅沢贅沢。
土小屋周辺はウラジロモミの純林地帯となっている。
道はなだらかに鶴ノ子ノ頭(1638m)の方へと向かう。

登山道は鶴ノ子ノ頭へは登らず、東側をトラバースするように付いている。
この辺りはブナと笹の明るい森だ。

可愛らしい若葉。
ブナと思って撮影していたが、よく見るとブナではないようだ。
葉が丸いし、縁取りがギザギザだ。
なんでしょ?

東側の斜面に残雪があった。
ペラペラのこの雪も消えるのは時間の問題か。

ほぼフラットな、快適な森の道。
この頃には天候も回復し、早朝の岩黒山での惨劇がまるで幻のようだ。

8:55 やがて道は鶴ノ子ノ頭を通過し、笹原に出る。
この辺りが次の1677mピークとの鞍部地点。
笹原に点在するウラジロモミ、ゴヨウマツ。
このポイントからは石鎚山頂の岩山が見えるはずだが、先ほどまで晴れていた天候がなぜだか急に悪化。
山頂付近はガスに覆われて何も見えない。
うーむ。
焦らすね。
今朝からまだ一度も石鎚山頂を拝めていない。

歩いて来た道を振り返る。
画面右側手前のピークが鶴ノ子ノ頭、その奥が今朝激闘を繰り広げた、岩黒山だ。

ベンチのある休憩所を通過し、先へ進む。
この辺りから所々アケボノツツジが目につくようになった。

再度振り返る。
南側の方が天候が良いようだ。
それにしてもこの辺りは笹原に広葉樹と針葉樹が混じり合った、まるで庭園のような魅力的な道。
アケボノツツジのピンクがいいアクセントになっている。

しばらく道なりに歩いていると、遂に!
前方にゴツゴツした岩の石鎚山北壁が姿を現した。
ガスが一瞬晴れ青空が顔を出す。
このまま道は北壁に向けて進み、直下をトラバースしながら表参道、ロープウェイルートとの合流地点、第二の鎖小屋へと続いている。

しかし、これだ。
再び天候が悪化。
瞬く間に濃いガスが山頂付近を包み隠してしまう。

この荒々しい谷には夏には高山植物が咲き誇るとの事。
ぜひ見て見たいものだ。
今回はまだ雪渓が残っていた。
落石に注意しながら進む。

やがて霧氷が目につくようになる。
この時期に??
目を疑ったが、今朝の極寒の岩黒山での事を思えばあり得ないことではなかった。
というか、今現在も風は強いし、随分寒いのだ。

9:49 やがて第二鎖小屋へ到着。
表参道からの道へ合流し、鳥居をくぐり急な石階段を登り詰めると綺麗なトイレが整備されている。
使用するには協力金が必要だが、頂上を含めてここが最後のトイレとなる。

ここで少し休憩を取る事にした。
それにしてもやはりGW、天候が微妙とはいえ大人数でごった返している。
多くの人がニノ鎖に挑戦するようだが、今回も我々は巻道を進む事にした。

ここから頂上への道はまだまだ冬モード全開だった。
霧氷はもちろん、あちらこちらに残雪が残っており、鉄製の階段の登りも随分慎重に進まなくてはならないほどだ。

高度を上げるにつれ風もやや強くなって来た。
相変わらず天候は不安定。
ガスも飛ばされて突然晴れたり、曇ったりを繰り返す。

三の鎖直下へ到着。
ここからの景色は迫力満点。
重厚な岩の断崖絶壁。
そして霧氷。

もちろん三の鎖も迂回する。
ツルツル滑る階段を慎重に。
一瞬覗いた青空に白く輝く霧氷が美しい。
春山で思いがけないプレゼント。
この時ばかりは寒波に感謝したくなる。

やがて山荘直下まで登って来た。
西側斜面、ニノ森方面。
ガスっているので頂上は見えない。

10:24 弥山頂上(1972m)に到着。
多くの登山客で溢れかえっている。
GWそして100名山パワーを実感。
それにしても!
寒い!
これでもかと言わんばかりの冷風が吹き荒れている。
帽子が飛ばされそうだ!

ナイフのように切れ味鋭い天狗岳(1982m)。
時折ガスったり晴れたりを繰り返している。
とにかく寒いのですぐに山荘に避難。
ランチタイムとする。
もちろん注文はカレーだ。
暖かい室内で、ゆっくり休憩する。
至福の時間。

しばらく休憩した後は頂上で撮影タイム。
相変わらず風は強いが、天候は少し良くなっていた。
このアングルからは歩いて来たルートが一望できる。
画面中央のキラリと光っている部分が土小屋の山荘だ。
その奥が今朝登った岩黒山。

天狗岳へ向かうカラフルな登山者と、白く輝く霧氷。
しかし、こうしてみるとなかなかスリル満点の道だ。
去年石鎚へ登った時は天狗岳まで行ったのだが、一面ガスに覆われていてそれほど高度感を感じなかった。
今日行くとさぞかしブルってしまうだろうな。

天狗岳へのルートは順番待ち状態。
どうしようか考えていたが、今回天狗岳は断念する事とした。

足元でイシヅチザクラが花を咲かせている。
イシヅチザクラは愛媛県レッドデータブックに記載されている、絶滅危惧種。
西赤石山系、瓶ヶ森、石鎚山の高所でのみ見られる貴重な桜だ。

表参道ルートの夜明峠を俯瞰する。
もうすぐ新緑を広げる木々たち。

相変わらず西側はガスっていてニノ森はギリギリのところで姿を現してくれない。
丁度光が当たっている、手前のピークは西ノ冠岳(1894m)。
ニノ森はその左側のピークの更に奥だ。

そのニノ森の裾を下って行く道。
石鎚〜面河ルートだ。
このルートは長い上に(往復19km)標高差も1300mを超える、厳しいルート。
だが豊かな原生林を行く道で、ぜひ訪れて見たいルートだ。

11:20 撮影を十分堪能したので、頂上を出発。
下山を開始する。

ナンゴクミネカエデ?がもそもそと芽吹いている。

新葉が広がる直前。
冬芽の赤色が紅葉のようだ。

北壁を仰ぎ見る。
手前から南尖峰、天狗岳、弥山。
今回のコースではこの北壁直下をトラバースしたのだが、東陵ルートという、この岩山を進むルートがある。
この写真でも岩山の上を進む人が見える。
ガクブルである。
調べてみるとかなりの高度感を味わえるとの事。
このルートからの紅葉の時期の写真も見たが、本当に素晴らしかった。
いずれ挑戦したい。

ほんわかアケボノツツジ。

オオカメノキの花。

やがて鶴ノ子ノ頭手前の鞍部まで戻って来た。
振り返ると、石鎚山。
行きではガスに包まれ何も見えなかった。

瓶ヶ森が見えている。
なだらかな平原は氷見二千石原と呼ばれる広大な笹原。

13:10 土小屋着。
駐車場からも山頂が見えるようになっている。

早朝の岩黒山から始まった今回の山行。
残念ながら朝日は拝めなかったが、季節外れの霧氷にも出会え、なんとかかんとか石鎚頂上で晴れてくれたので結果的に充実した山行になった。
石鎚山は2回めだが、感じたのは、まだまだ奥深いという事。
色々魅力的な事柄が多すぎて、その全てを味わうには何回も何回も足を運ばなくてはならないように感じる。
スケールの大きい山だと思う。
やはり100名山は伊達じゃない。

T、今回は運転等々、大変お疲れ。
懲りずに次回もヨロシク〜




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